家族の幸せを願って


 皆さんはどんな時に幸せを感じますか。美味しい物をお腹いっぱい食べた時、美しいものを見た時、大好きな人と一緒にいる時、人それぞれあると思います。そして人は自分の幸せはもちろんのこと、それと同時に家族の幸せも自分のことのように願っているのではないでしょうか。センターにかかってくる電話でも家族のことを思いまた心配し、本人ではなく両親や子ども、また配偶者など代理の方が相談してこられることがよくあります。

 ある日、センター関西 にすで に成人した娘さん(以下Aさん)のことで 相談の電話をかけてきた女性(以下Bさん)がいました。Bさんは若いときに自国で結婚し、Aさんを出産、そして離婚。その後、Aさんを自国の親摺に預けて来日し、日本人男性と再婚、彼との間にも子どもが生まれましたが、Aさんが成人する頃に日本へ呼び寄せたとのことでした。日本の大学を卒業し、就職、結婚、そして出産と日本での生活にも慣れて幸せにしていたはずのAさんはここ数年間精神的にかなり調子が悪く、現在入院中。 Aさんの結婚相手はすでに離婚を希望し、呼び寄せには賛成だったBさんの夫も「これ以上 Aさんの件には関わりたくない。これ以上何かあるなら、自分達の結婚も続けられないかもしれない。」と言っているとのことでした。 母である B さんは A さんの入院や治療、そして 今後のAさんと 自分自身の生活に大きな不安を抱えているようで、「Aさんと二人、永遠の旅に出てしまおうかと思う」と漏らし、彼女自身が精神的にかなり疲れているようでした。ポツリポツリと自分の半生も含めてお話をするBさんとの電話は1時間を越えました。帳常、センターの電話相談は長くても15〜20分くらいで終えるようにしていますが、今回は自殺願望に近いことを口に出されたのでそのまま話を聴きました。

 センターがBさんのために出来ることは、自国と日本の両国で様々なことを経験した彼女の声を受け止め、これからどうしていきたいか自分なりに考えてもらうために、彼女が必要とする情報を提供することだけです。このケースでは、仮に入院中のAさんが離婚し生活が苦しくなったとしても、*入院中の病院を現住所として生活保護の受給申請が出来ること、そして入院期間が長引き3ヶ月を過ぎても他の病院へ転院する必要はないこと等をお伝えしました。Bさんは心配を解決する方法がいくつか見つかったためか、最後はかなり落ち着いた声になり電話を終えました。

 Bさんは母として、そして日本人男性の妻として家族全員の幸せを心から願っていたはずなのに、こういった状況になってしまい、電話越しの声から私たちはその落胆が容易に想像でき少し心が痛みました。センターには本当に色々な人生を歩んでいる方達から相談の電話がかかってきます。私自身はセンター関西を退職し相談業務から離れますが、一日のうちたった少しでも幸せだなぁと感じられる時間を、みんながもてるような世の中であって欲しいと心から願っています。 (センター関西 Y)◆◆◆

*医療機関にもよりますので、申請の際はお問い合わせ下さい。

(AMDA国際医療情報センター NEWSLETTER NO.54より)


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