一つの保険・二つの管轄

 今回のケースは、以前No.46*のケースでご紹介した保険料のさかのぼり請求についての補足として書かせていただきます。

 ある電話の相談内容の中で、地方に在住の外国の方から質問をうけました。今日市役所に行き、国民健康保険に加入しようと思ったら、ずっと入っていなかった為に、最長で5年、少なくとも3年分は支払わないといけないと言われたので、できれば確認して欲しいというのです。我々の情報では保険料は、最大で2年間の遡りということで、5年や3年というのは初めて聞きました。わたしははじめ、その方の勘違いなのではないのかと思っていましたが、次の日に、その方が住んでいる地域の区役所に問い合わせをしたところ、やはり3年の遡りで状況によっては5年遡って請求ができると言われたのです。

 元々、保険料は国民健康保険法に基づいて決められたものであるため、厚生労働省に電話をし、国民健康保険法の担当者と話をしました。担当者の話だと、国民健康保険法第110条(時効)の「保険料その他この法律の規定による、徴収し、又はその還付を受ける権利は2年を経過したときは、時効によって消滅する。」ということでした。つまりは、2年以上は時効が成立しているので遡れないということで、2年を限度としているということです。

 次に、保険税については地方税法を管轄している総務省に確認の電話をしました。総務省の地方税法の担当者によると、保険税は、地方税法第17条の5(更正、決定の期間制限)に定められていて、「更正、決定又は賦課決定は、法定納期限(随時に課する地方税については、その地方税を課することができることとなった日。)の翌日から、起算して3年を経過した日以後においてはすることができない。加算金の決定をすることができる期間についても同様とする。」を適用しているとのことでした。つまりは、3年以上は遡れない、つまり最大3年間は遡れるということなのです。加入者が徴収金の還付を受ける権利が保険税の場合は最大5年で時効が成立致します。

 このように、保険料金の徴収方法は、厚生労働省管轄と総務省管轄と2つ存在するということになります。法律的にはどちらを選択しても良いということで、選択権は、区市町村にあるとのことです。実際は、区市町村の議会で決定し条例として施行しているそうです。そうなると、法律に従って支払いをしなくてはなりません。(ちなみに、国保加入は強制加入です。)この方は最終的に、ご自身で判断し決めるということで相談は終わりましたが、こちらが持っている情報で疑問に思ったら徹底的に調べて、外国の方に、このような日本の保険制度を理解していただけるように、努めていかないといけないということを痛感しました。そして、情報として確実なものを提供しなければなりません。しかし、やはり日本人でも分かるようなことでなければ外国の方は理解できません。もう少し、分かりやすい法律をつくっていただきたいものですね。(センター東京K) ◆◆◆

(AMDA国際医療情報センター NEWSLETTER NO.53より)

*参考 AMDA国際医療情報センター NEWSLETTER NO.46のケース


AMDA国際医療情報センターのホームページ

NEWSLETTER NO.53

ケース紹介目次

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