日本でできることは・・。

 この夏、こちらからの説明に耳を貸してくださらないケースや、日本の医療に対する不満を口にするケースがいくつか飛び込んできた。長年相談に対応してきて、大概の相談にはメゲナイ心臓を持っているつもりでも、連打を浴びると次の電話での対応がうまくいくかどうか心配になって来る。

 まずはパンチ1:朝9時を過ぎるなり、英語が通じる医師を紹介してほしいという相談を受けた。足の皮膚がおかしいので、医療機関が未だ開いていないのはわかっているが、とにかく早く行きたいと、希望の地域を2ヶ所上げられた。お盆休みに入りかけていたため、5分後のコールバックをお願いし、心当たりのところに電話をかけたがどの機関も留守番メッセージがお盆休みの初日だと教えてくれるばかりだった。更に5分いただき、ようやく開いているところを見つけたが、第二希望の地域にある医療機関だったため、第一希望の地域がよいと何度も繰り返された。紹介し始めても「日本語は読めないからクリニックの名前はいらない。行き方だけ教えてくれればよい」と言う。クリニックの名前を知らず、辿り着くのは難しいのではと伝えたが、まったく聴いてくれず、ビル名や目印についてもメモを取る気配もなく、文句を言って「もういい。さよなら」と言って電話を切られてしまった。

 そして2打目:都市周辺の自然の多い地域にお住まいの方から、虫にかまれたのだが、虫が皮膚の下に入って行っていると思うとの相談を受けた。既に皮膚科を受診したが、「何もない」と言われ、クリームを処方されただけ。しかし近隣にはこの皮膚科以外に皮膚科はなく、一度問題ないと言った医師にこれ以上は訊けないと言う。よく話を聞くと、体の中に入っていくというのもそのような感じがするということで、実は虫は一度も見ていなかった。しかし、何かに足をかまれ、その瞬間今まで感じた事がないくらいひどく痛み、足を触ることも歩くこともできなかったとのこと。その後歩けるようになったものの、今まで下痢などした事もなかったのに、下痢になったと、かなり神経質になっていた。重大な問題かどうか心配で、専門家に大丈夫と言ってもらいたい様子だった。何度かもう一度皮膚科を受診するよう勧めたが、車はないし、どうしても病院には行けないということだったので、外国人医師に連絡してみるよう伝えた。日本人医師は会った事のない方からの電話での問い合わせでアドバイスする事はできないと説明すると、この方は専門医と電話で話したいというだけの自分の希望がなぜ叶わなかったのかを理解し、同時にこちらも、彼女に対して必要な説明はこれだった、とわかったのであった。

 この他にも、「自国や周辺の国では簡単に受けられる治療がなぜ日本では受けられないのか」「自国や周辺の国では一般的な薬がなぜ入手できないのか」「なぜ検査だけ受けられないのか」「なぜこの薬は日本ではこんなに高価なのか」といった質問が続き、充分納得してもらえるような回答ができないでいた。 こんな落ち込んだ気持ちをしゃっきりさせてくれるのはスーパーバイザーの存在だ。今回も1発目のケースを日誌に書いて、センター内で共有した後、すぐにアドバイスや励ましのメールが数通届いた。同僚や、ボランティアさんの意見も心に沁みてくる。こうして、次のベルが鳴るたびに新たな気持ちで、電話に出る事ができる。「はい、AMDA国際医療情報センターでございます。」(センター関西I)◆◆◆

(AMDA国際医療情報センター NEWSLETTER NO.50より)


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