エイズプロジェクトから


 今年も12月1日の「World AIDS Day(世界エイズデー)」が近づいて来ました。これは世界的レベルでのAIDSの蔓延防止と患者・感染者に対する差別や偏見の解消を図ることを目的として1988年にWHOが定めたもので、1996年より、WHOに代わって、UNAIDS(国連合同エイズ計画)がこの活動を継承しています。毎年、我が国でも厚生労働省をはじめ多くの地方自治体ならびに各種団体がこれに賛同し、その趣旨を踏まえて、12月1日を中心とした前後の日にポスター掲示や講演会・シンポジウム、また特別電話相談の受付などを行い、エイズに関する正しい知識の啓発活動を展開しています。ちなみに、UNAIDSの2003年「世界エイズデー」啓発テーマは昨年に引き続き、“stigma and discrimination”、また、我が国におけるテーマは、AIDS予防について身近な問題として考えてもらうきっかけとするため、“「エイズ」知ろう、話そう、予防しよう”となっています。

 一方で、厚生労働省のデータを基に我が国を取り巻く状況を見てみますと、昨年の新規HIV感染者報告数が、過去最高を示した2001年の報告数とほぼ同数になるなど、発生動向は依然として増加傾向にあります。また、2003年6月末現在のHIV感染者・AIDS患者は累積で8,126人おり、その約30%が外国籍の方々です。そして、我が国での主な感染経路は性的接触によるものであるため、性感染症対策と連携を図りつつ、正しい予防方法について普及啓発を積極的に実施していくことに加え、日本に在住する外国人への適切な情報の提供や対応が求められています。

 さて、当センターへのAIDSに関する電話相談は、ここ数年ほぼ横ばい(’97年度276件、’98年度163件、’99年度161件、’00年度151件、’01年度144件、’02年度153件)であり、今年度4月から8月までの合計は58件となっています。HIV感染者報告数が毎年増加傾向にあるますにもかかわらず、当センターへの相談件数が横ばいなのは、社会的関心の低さやそれに伴うHIV抗体検査数の減少を大きく反映しているのではないかと懸念されます。一方、当センターへのAIDS相談内容のほとんどが、HIV抗体検査可能な公的機関ならびに医療機関の情報提供である中、HIV感染者本人から今後の生活や日本の医療制度、医療機関に関する相談も入るようになってきましたので、さらなる医療情報の充実とともに、HIVやAIDSに関するより専門的な知識や電話相談のテクニックを身につける必要性を強く実感しています。

 最後に、HIVならびにAIDSを取り巻く環境は日々変化しており、私たち1人1人が持っている知識はすでに過去のものになっている可能性があります。そのために差別や偏見が解消されなかったり、あるいは適切な感染予防がなされなかったとしたら、それはとても残念なことです。今年の「世界エイズデー」をきっかけとして、もう一度、皆さんもHIVならびにAIDSについて考える時間を持ってみてはいかがでしょうか。(センター関西K)◆◆◆

(AMDA国際医療情報センター NEWSLETTER NO.47より)


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