さかのぼり加入について


 センターに入る電話相談の中で医療相談は勿論だが、やはり国民健康保険、社会保険(正式名称は健康保険)加入についての相談は多い。日本固有の保険システムは、ある程度制度に関して知識のあるもの以外には難解である。実際日々の生活で恩恵を受けているものの、具体的に自分以外の環境の人に助言を施せる人はあまりいないのではないだろうか。それが日本語に不自由のある在日外国人、来日したばかりの留学生のケースになると本人の感じる複雑さは増すのではないだろうか。日本語の堪能な友人に頼み相談する方が多く、このケースも当人ではなく友人からだったため充分に状況を把握することができないうちに相談が始まった。

   外国人登録をして日本に滞在しているアジア出身相談者の友人。2〜3週間のうちに留学予定の学校から正式に合格通知が届く。そうすれば友人は国民健康保険に加入できる資格ができると思う。今かかりたい病院の治療費を国民保険でカバーすることは出来ないか。具合の悪い友人の為を思いすぐに病院に連れていきたいと願う相談者。民間保険会社の情報とさかのぼり加入の制度を簡単に紹介し外国人登録をしている区の国保課に相談するようにすすめると、折り返しその区の相談を受けた区役所員からの電話が入った。本人の詳しい現状が分からないことと、コミュニケーションが上手くかみ合わないことで多少困惑した電話口の区役所員は、今まで対応したことのない外国人の“さかのぼり加入”による国民健康保険適応の相談をより良く対処しようとこちらにある情報を得たいとのことだった。

   1992年3月に厚生省より外国人の国民健康保険加入の新しい通達があり、内容は「外国人登録を済ませ1年以上の滞在が認められるもの及び外国人登録を済ませ入国当初認められた在留期間が1年未満であっても書類などにより滞在期間が1年以上になると認められるもの」。なお、滞在期間がどれくらいになるかの判断基準には、入国目的別に分類して「宗教では派遣する国の宗教団体が作成した派遣期間、待遇などを記載した文書」「興行では契約書などの写し」「留学では教育の内容を明らかにする資料や在学証明書」「家事使用人やスポーツ選手では契約書の写し」などが挙げられている。(外国人にも利用できる日本の医療・福祉制度ガイドより)

   もし相談者の友人が全て必要書類を揃えて区の窓口に申請に行った場合、後に国民健康保険に無事加入できたものとすれば、加入可能なビザを取得し“外国人登録”をしたその当日から保険適用となり、申請手続き前であったとしても資格取得日から手続きまでのその間の病院医療費は、通常かかった医療機関に差額返金を要求できる。だが区からさかのぼって給付を望む場合、加入条件が揃った日から14日以内での申請が必要となりそれ以降は特別な事情がない限り難しくなると問い合わせた別の区から回答があった。それは当然日本人でも同じである。

   国民健康保険加入資格があれば日本に滞在するものの義務として 入るべきものとみなされる。国民健康保健法を鑑み、猶予が与えられる期間が14日ということになりそれ以降は区からの差額を給付する保証がなくなるわけである。(S区、M区、S区の回答)だがこれは相談員の友人が短期滞在ビザではなかった場合になり、友人の状況によっては全く資格がなくすべて自費にて診療という可能性もでてくる。

   もし近くにだれも知る人がいなかったり相談ができる友人がいなければ、どこの国の法律や制度も同じように難解な迷路のように感じる。そのようなときにセンターは色々な言語で声援をおくり望むゴールにたどり着けるよう勇気づける存在でありたい。(センター東京I)◆◆◆

(AMDA国際医療情報センター NEWSLETTER NO.46より)


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