男の赤ちゃんの割礼

 「男の子の赤ちゃんが生まれたので割礼をしてほしい。どこでしてもらえるか。」という相談がたまにあります。

 割礼とは、ペニスの先の亀頭をおおっている包皮という皮膚を切ることで、生後数日以内に行われます。ユダヤ教などでは宗教上必要なこととされており、アメリカでもかなりの割合で行われているようですが、日本では非常に珍しいものです。成長すると亀頭は自然に露出してきます。成長しても露出しない場合、包茎の形成手術をすることがあります。その手術をあえて新生児に行うわけです。

 さて、日本で男児の割礼をしてもらえるかというと、手術をしてくださる医師を探すのに苦労します。まず、泌尿器科、小児科、外科のどの科でしてもらえるか、医療機関によって違います。医師は割礼を容認しているか、例え手術できると言ってくれたとしても、経験がどのくらいあるかというのも問題になります。赤ちゃん、それも生まれて1週間たつかという新生児に麻酔をし、メスを入れるわけですから、親も手術に慣れた医師を希望するわけです。都会でなければ都合よく相談者が住んでいる地域にそのような医師がいることは稀で、多くの場合、あまり経験はないがやっても構わないという医師がいる医療機関を、とりあえず近県内で紹介する場合が多くなります。

 ある医師は、「まず診察してみて必要性があるかどうかをみる。必要性がない場合手術には賛成しかねる。親の考え方で新生児に麻酔をかけて手術をすることに疑問を抱く。」と言いました。一方ある家庭医学事典には、「陰茎の正常な発育を妨げる、亀頭包皮炎になりやすい、陰茎のガンは包茎から出る場合が多い等の理由から米国では割礼を行う習慣がある。ガムコウクランプという器具を使用して無麻酔下で手術ができ、これを反対する理由はまったくなく、将来我が国でも習慣となるだろう。」(保健同人社「新赤本改訂新版家庭の医学」より)と記述しています。賛否両論でどうするのが正しいのかよくわかりません。ただ、自分の国で習慣となっていることが、それを習慣としない国で医学的根拠云々であっても拒絶されるのはかなり抵抗を感じるのではという気がします。一方、手術を行いたくない医師にもそれなりの考えや根拠があるわけで、文化・習慣の違いをどう埋めていくかを改めて考えさせられます。◆◆◆(センター関西事務局Y)

(AMDA国際医療情報センター NEWSLETTER NO.39より)


このケース報告への昇平産婦人科、林田先生のコメント

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