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外国人就学生と高額医療費


 

 先日、中国人男性Aさんから医療費に関する相談を受けた。Aさんは昨年11月に来日し現在日本語を学んでいる就学生で、もちろんビザは持っているが保険は日本語学校で掛けているプライベート保険のみという状況であった。風邪をこじらせ、のどの炎症が悪化し、ある病院で診察をうけたところ、症状が思ったより悪かったらしく別の大学病院を紹介され、そのまま6日間入院した。ところが退院時に約86万円の高額な医療費を請求され、どうにも納得がいかず当センターに相談したと言うものだった。実際Aさんから病院の診察費請求明細を見せてもらうと、確かに請求総額は約86万円でそのうち入院料だけで約75.5万円もかかっていた。

 単なる風邪の症状でこのような高額の入院料は合点がいかず、Aさんは日本語もかなり上手に話すので、センターとしてはこの種の医療問題に詳しい「ささえあい医療人権センターCOML」を紹介した。また同時にセンターからもCOMLに今回の問題についての見解を聞いてみた。

 COMLの担当者によると、「明細では入院料が保険点数47,958点となっている。一般病棟の基本入院料は加算がついても高くて1日約2,000点ぐらいにしかならないので、今回6日間の入院で約48,000点というのは明らかに多い。しかしその一方、救命救急室入院料は一日当たり9,200点である。従って今回のケースでは恐らく、Aさんははじめに大学病院に搬送された際まず救命救急室に入れられ、その後一般の病室 に移されたのではないか」ということであった。

 さらにこのケースでは、自由診療時の計算のしかたも高額な請求額の原因となっていた。医療費は日本の公的保険を持っている場合、保険点数1点あたり10円で計算するが、持っていない場合は自由診療(保険外診療)となり、1点をいくらで計算するかは医療機関に委ねられている。Aさんは公的保険に加入していないため自由診療扱いとなり、1点=15.75円の計算で86万円という請求額がだされていた。

 その後COMLより、Aさんから相談を受けたとの報告を受けた。考えていたとおり、Aさんは救急車で大学病院の救命救急センターに転送されたということだった。「『搬送された際、特に意識混濁していたわけではないので、救命救急扱いの入院料で請求するのは過剰ではないか』という疑問をあげて、請求額の再検討を病院に頼んでみてはどうか」とアドバイスしたとのことだった。当時Aさんがどのような状態で大学病院に搬送されたのかは現場にいた人間でなければわからない。しかし搬送された段階で、病院側が事前にAさんに対して、救命救急室に入れること、またそれに関わる経済的な問題について適切に意思確認がなされたのかどうか疑問が残る。生活基盤が不安定な外国人留学生・就学生にとっては今回のような経済的負担はかなり深刻である。Aさんの場合学校で加入しているプライベート保険からの払い戻しはあるにしても、本人が病院に支払いをして領収書をもらってからのことになるため、まず請求された金額を自分で用意しなければならない。いずれの医療機関でもこれらの点を考慮し、できるだけ配慮の行き届いたコミュニケーションを心掛ける必要があるのではないだろうか。◆◆◆(センター関西相談員Y)

(AMDA国際医療情報センター NEWSLETTER NO.36より)


 

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