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ケース紹介

 

医療習慣の違いからおきる誤解も説明により解消

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ケース1:早く歯を治療して!

 中国人留学生。ずっと前から歯の痛みがある。外国の病院は高いとよく聞くので我慢 していたという。2カ月前から痛みが抑えられなく、我慢できなくなった。夜もよく眠 れないし、1週間くらい学校にもいっていない。こんな状態を続けるより高くても病院 へ行くことを決心し、T病院にかかった。診てもらった結果、虫歯が3本あり、神経を とらなければいけない状態だった。「とりあえず、応急処置をしてこれから少しずつ治療 しましょう」と先生が言った。とてもやさしくて親切な先生だった。治療費も想像と違 って、そんなに高くはなかった。

 通いはじめ、3回の治療を受けた。今日、「治療はまだ途中で、これから3回以上の 治療が必要でしょう」と先生に言われた。それを聞いてびっくりした。「ただの虫歯の 治療だけなのに、どうして何回も病院に行かなければいけないのか?もしかして、治療 の回数を増やし、お金を沢山取るつもりなんじゃないかと思ってしまった。親切にして くれてもこんな先生は嫌だ。とりあえず、1回だけで治療が終われる先生がいいので、 紹介してください」という相談だった。

 センターにはこのような相談がしばしば寄せられている。日本で歯の治療なら、終了 するまで何回か歯医者さんに通わなければいけない。日本と違って中国では虫歯の治療 は大体1、2回で済む場合が多く、何回もしかも長い間通うことは中国人にとってはと ても不可思議なことだ。相談者にその違いについてを説明し、今通っている先生に治療 の回数を減らすよう相談してみて下さいと助言したら、「まあ、親切な先生だったの で、ちゃんと自分の都合を説明し、早く治療が終われるよう相談してみる。」と言い、 電話を切った。その後電話がなかったため、うまくいったのかもしれない。


ケース2:点滴して!

 日本に来て半年が経った中国人Aさんからの相談で、3カ月間ずっと風邪を引いてい て熱が39度あったため、勇気を出してはじめて日本の病院を訪ねた。中国にいたとき風 邪を引くと病院で点滴をしてもらう習慣があったので、病院に行き、点滴を希望してい ることを先生に伝えたら、何故か先生がすごく怒った。そして、「私の話を全然聞いて くれなかった。また何故か血液検査までされてしまった。結局、やはり風邪だった。そ れにしても点滴をしてくれなかった。三日分の薬をもらって飲んだが、未だに38度の 熱が続いている。やはり点滴がよいので、してくれる病院を紹介してください。そし て、その先生が話を聞いてくれなかったせいで治療が遅れたため、医療ミスだ」と本人 が言う。

 こちらでは他の病院の紹介はできるが、患者の状態を診ないとどういう治療ができる かあるいは点滴をしてくれるかどうかは断言できない。以前の病院でもきっと先生が状 態を診て、点滴をしなくても良いと判断したのだろう。他の病院に行って最初から検査 を受けるより、もう一度以前かかった病院に行き、薬を飲んだがまだ治っていないこと を先生に相談してみてはと助言したら、もう一度行ってみると言い電話をきった。数日 後、Aさんから再び電話があった。「先日はお世話になった。もう一度その病院に行っ た。先生に自分の思ったことを言い、相談したら点滴をしてくれた。風邪も治った。そ して、先生ともゆっくり話しができた。そちらに電話して日本と中国の違いを気付かせ てくれて本当にありがとうございました。」とお礼の電話をくださった。

 自分の意志を一所懸命先生に伝えたい患者、適切な治療をしようとしている医師、言 葉の問題もあるが、背後には医療習慣の違いも影響しているだろう。また、国によって 医療についてある程度違うことを念頭に置かないと、異国で本国と同じ治療を求めた場 合に疑問が生じ、納得の行かないことも多くなるだろう。私もそのようなカルチャーシ ョックを体験してきた一員として、少しでもそういった誤解を解けるよう日々の相談に 心がけている。

(AMDA国際医療情報センター NEWSLETTER NO.20より)

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