AMDA国際医療情報センター
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小林米幸: AMDA国際医療情報センター理事長

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カンボジア人女性78歳、高血圧で治療中、次に診察した日本人女性に「先生、さっきまで目の前に座っていた人、やさしい人ね、どこの人?」と言われた。もともとカンボジア難民として日本政府に受け入れられた1000人余の一人で、彼らを受け入れる定住促進センターの嘱託医を兼務していた僕にとっては同志のような気がする人たちの一人だ。40台になって来日して勉強したにしては上手な日本語だ。彼女たちが逃げ出したころのカンボジアはポルポト政権下で、原始共産制を礼賛、貨幣を廃止し、農業だけが労働という考えのもと、プノンペンなどに住む都会の人々を集団でいなかに連れて行き、肉体労働に従事させた。朝、起きたら昨日のことは夢だったなんてことがあるのではないかと何度も思ったそうだ。その中で、医師、看護師、教師、銀行員などいわゆる知識階級とよばれる人たちを徹底的に弾圧、一家ごと処刑した。仕事がわかると殺されると思った人々は口をつぐんだり、虚偽の申請をしたりしたのだが、そういうときは子供だけを呼んで、両親の仕事を尋ねたという。こどもは嘘を言わない、復讐を恐れ、こどもも含めて一家ごと殺した。結婚は党の命令による強制結婚だけとなり、それに逆らう者も処刑された。ポルポト政権下では数百万人が殺されたと言われ、たぶん今のカンボジアの人口構成でみると40台、50台の人が極端に少ないのではないかと思う。難民として日本に合法的に受け入れられたカンボジア人は東にタイとの国境を越えて、人に見つからぬよう、昼はジャングルに隠れ、夜はそのジャングルの中を歩き、サケオ県のカオイダン難民キャンプにたどり着いた人たちだ。カンボジアとの国境があるサケオや北のブリラム、スリン、シーサケット等の各県にはカンボジア語を話すカンボジア系のタイ人も多く、彼らをかくまった人たちも多いと聞いた。午前中にさらにカンボジア人女性81歳、娘さんに連れられて現れた。精神科疾患もあるのだが、日本語が話せず、僕でなくてはだめということで長年拝見している。
  • 2017/4/7 9:10
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桜が満開になり、暖かくなって気持ちがいい。ただこの時期、郡市医師会も県医師会もNPOも総会や代議員会を控え、準備にあわただしくなる。アメリカ人男性42歳、35日分の処方を頼まれたが、彼に処方している睡眠導入剤だけは30日分しか処方ができない。もしかして睡眠導入剤が手元にいくつか残っていないかと尋ねたところ、ちょうど1週間分ぐらいあると言うので、睡眠導入剤だけ30日分処方とした。フィリピン人男性32歳、B型肝炎のキャリアでフィリピンで買ったというインカビルという抗ウィルス剤をすでに2年半ぐらい内服しているとのことで、その治療効果をチェックするために先週来院したのだが・・・血液検査の結果、肝機能は異常なし、ただし、HBs抗原は陽性、同抗体は陰性で治療効果がない状態。このような抗ウィルス剤は日本でも高価だが、フィリピンでも高価なはず。尋ねてみたら、一回に買うのに50万円以上使っているとのことだった。驚いた。フィリピンの物価で50万円といえば私立の看護学校の授業料の2年分だ。日本の公的保険もあり、日本で生活していくということなので、近くの公立病院の消化器科を紹介した。内服するならキチンとしたプログラムに沿って適切な薬を使わなければ意味がない。今までは手元にインカビルがなくなってしまう期間があり、「飲んだり飲まなかったり」であったのとこと。紹介して先方に情報を伝えたところ、英語、タガログ語しかできないのなら英語の通訳がいないと診られないとの話で、またまたややこしいことになってしまった。最終的には、どういうシステムになっているのか、通訳が見つかったとのことだが、水曜日の予約になったので、僕のところのフィリピン人スタッフが付いていくのかもしれない。
こういうサービスについては個人的に行うことでもあるので、してはいけないとかしてあげてほしいとか僕は一切、言わないことにしている。
  • 2017/4/6 9:17
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ペルー人男性38歳、便秘が強いとのこと、こういうケース、中には大腸がんのケースもあるかもしれず、そのような深刻な疾患を見落としてはいけないと特に気を使う。患者からみるとどうやら大げさに考えていると思われているらしく、大腸内視鏡検査についてやんわりと勧めてみたが、断られてしまった。しばらく緩下剤でようすをみることにした。韓国人男性58歳、数日前に仕事中に手の甲を切ってしまったとのこと、市販の傷を覆うシールを貼っていたらしいが、感染をおこしかけていた。包帯交換と抗生物質の処方を行った。こういうシールが街中で入手できることがいいとは限らない。医療費削減と聖域なき改革とやらの産物らしいが、けっきょくのところ、感染をおこしたりして医療機関にやってくる人が絶えない。店側の言い分としては「売るときになにかあったら医療機関へと注意はしている」と言うのだろうが、実際には相当ひどい状態になってからやってくる人も少なくない。包帯交換をしていて、この男性が以前よりずっとやせてみえることに気がついた。6キロ減ったと話していたが、糖尿病など体重減少にかたむく疾患があるのではないかと心配になった。朝、某出版社から一冊の本が送られてきた。分担執筆したものだが、僕が原稿を書き終わったのが1年前、依頼を受けてすぐに書き終えたのを覚えている。たしか締め切りは夏ごろだったと思う。分担執筆は分担する人が多くなると、中には執筆が遅い人もいるのだろう。遅れに遅れてしまう。タイムリーな内容ならやはり一人で書き上げるべきなのだろう。これで一人で書き上げた本が6冊、分担執筆が4冊、すべて開業してからとなった。
  • 2017/4/4 8:59
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ドミニカ人の9歳の御嬢さん、1週間前に転倒して怪我をした顔面の傷のチェックを行った。女の子の顔であることから母親が非常に心配していたが、深刻な傷痕にはならないと説明した。それでも心配がつきないようで、そろそろ入浴してもよいと話したが、あの分ではしばらく入らないのではないかと思った。ペルー人男性54歳、胃の調子が悪く、内視鏡検査を施行した。軽度の逆流性食道炎あり。そういえばお子さんがふたりいたことを思い出し、尋ねてみてみたら、大学生ですとの返答。驚いた。もうそんなに月日が経っていたのかと。その息子さんが付いてきており、僕と同じ大学の理工学部の2年生と教えてくれて、またびっくり。本人も勉強、がんばったのだろうが、父親母親とも必死に働いて安くはない入学金、授業料を出してくれたにちがいない。ペルー人男性52歳、ピロリ菌の除菌療法後の呼気テストで陰性となっていた。よかった。フィリピン人女性31歳、バセドウ病だというのにいつもいいかげんに内服していて・・・というかコントロールできてしばらくすると内服しなくなってしまう。何度も何度もフィリピン人スタッフを通じて話しているのだが、このいい加減さが治らない。今回も甲状腺機能抑制剤を大量に投与し、ようやく手の震え、動悸などの症状が落ち着くところまで持ってきた。都内からやってきたフィリピン人女性27歳、右の季肋部が痛いというのだが、なんとなくおなかが出ているような気がしたので、尋ねてみたら妊娠17週とのことだった。レントゲン検査はあきらめてエコー検査を施行、とくに胆石などはなし。肝機能について採血を行った。
  • 2017/4/3 9:00
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木曜日の午後、ペルー人で日本語があまり上手に話せないという人の代理人という人から電話があり、ヘルニアは診てもらえますか?と言っているとスタッフから聞いた。「鼠径ヘルニアでも診ることはできますよねぇ、先生」と尋ねられ、いいよと答えた。手術はできなくても診断はできまよねぇという意味だ。外科医現役のころはおとなの鼠径ヘルニアもこどもの鼠径ヘルニアも「たくさん」手術していたっけなんて思いながら。問い合わせの電話があっても来院するとは限らない。あまり気にせずにしていたら、翌31日の昼前になって初診のペルー人男性42歳が現れた。スペイン語ではヘルニアではなく、最初のHを発音せずにエルニアと言う。どこにエルニアがあるの?と質問したら、つい最近、ペルーからやってきたらしく、ペルーでの医師とのやりとりを教えてくれた。症状はというと胸が苦しいらしい。内視鏡も行って・・・というくだりで気がついた。鼠径ヘルニアではなく、食道裂孔ヘルニア、英語でHIATAL HERNIAのことだったのだ。彼には悪いが、ちょっと苦笑してしまった。ヘリコバクター・ピロリも陽性で除菌療法を受け、陰性にはなったが、それから胃や食道の症状が強くなったとのこと、なるほど、食道裂孔ヘルニアのある人に除菌療法を行った結果、胃酸の逆流が強まったにちがいない。食事も済ませて来ているので、まずはプロトンポンプ インヒビターを2週間程度、処方してみよう、内視鏡検査を行うかどうかはそれから考えようということになった。
  • 2017/4/1 9:00
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昨日はなぜかHIVの即日検査の希望者が4人もいた。そのうちの一人がタイ人女性28歳、1年前にも即日検査を受けていて、その時は陰性だったのだが・・・彼氏ができて、ほかにパートナーはいないのだが、心配になって夜になると寝られないとのこと。なぜそんなに心配なのかは話してはくれない。結果は抗原も抗体も陰性で、にこにこして帰って行った。フィリピン人女性31歳、昔はフィリピンパブで働いていたが、今は介護職。ときどき右下腹部に腹痛があるという。便は毎日出ていて、でも軟便のことがあると話してくれた。こういう状態が1年ぐらい続いているとのこと、昔、フィリピンにいたころはどうなのか?と尋ねてみたところ、今と同じような痛みや軟便、下痢があったと教えてくれた。ちょうど介護職に転職して1年近くらしい。どうやら過敏性腸症候群ではないかと考えて、説明した。薬は飲みたくないとのことで食生活などの注意をした。タイ人女性53歳、高血圧とアレルギー性鼻炎、その他いくつかの疾患あり。バンコクから東へ遠く離れたカンボジア国境のシーサケットの出身、ラオス系の人たちも多いところだ。そういえば東北タイのラオス国境、メコン河を望むムクダハンという街があるが、日本のODAでメコンに架けた橋を渡るとラオスのサバナケットという街に入る。シーサケットとサバナケット、「ケット」というのはラオス語で街を表す言葉なのだろうか? 診察をしていたら、彼女のラインが鳴った。出てもいいよと話すと「今、病院で診察中だから」と小声で話している。相手はバンコクにいる娘さんだそうだ。なんと地球が狭くなったものよと思う。
  • 2017/3/31 9:00
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フィリピン人男性32歳、B型肝炎のキャリアだそうで、肝機能をチェックしてほしいとやってきた。採血し、通常の肝機能の項目と原発性肝臓がんの場合に上昇することが多い腫瘍マーカーであるα―フェトプロテインについて検査をしようと検査項目に丸印をつけていたら・・・フィリピンにいるときからこれを飲んでいますと見せてくれた薬があった。ブリストル・マイヤーズ社で作られている抗ウィルス剤だった。なんと今でもフィリピンから送ってもらって内服しているという。これはB型肝炎ウィルスそのものをやっつけることを目指して処方されているということであろうと思い、HBs抗原とHBs抗体を検査項目に加えたが・・・この薬を2年半内服しているとのこと、こんな内服の仕方をしていてよいのか、疑問に思った。ペルー人女性59歳、隣のZ市からやってきた。花粉症だと言うが、咳や痰、のどの痛みもあるので、それだけとは思えない。たぶん花粉症、正確にはアレルギー性鼻炎があるところに急性咽頭炎が重なったのだろう。両疾患についての処方を行った。フィリピン人男性66歳、1か月程度、マニラからバスで3時間程度のところにある田舎に里帰りしていたらしい。でっぷり太って帰ってきた。日本のコメはおいしいとみんないうが、やはり田舎の料理は口に合うのだろう。
  • 2017/3/30 9:10
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昨日は寒かった。きょう、クリニックまで運転してきたが、丹沢の山系が「すぐそこ」に真っ白に見えた。ベトナム人男性22歳、どうやら技能実習生で来日しているようだ。会社の健診にて血圧だけ測定していなかったが、実習のために計測して書類を提出することが必要とのことで、会社の人に付き添われてやってきた。簡単な日本語はそこそこわかるようだが、もちろん医学用語はわからない。会社の人に尋ねたら、ベトナム人の技能実習生は3人いるそうで、月に1回、ベトナム人の通訳がやってくる日があると話し、4月5月の来院予定日を教えてあげた。フィリピン人女性49歳、いつもは高血圧で通院中、血圧測定し、処方を書いて終わりと思っていたら、会社から健診の結果を渡されたとカバンの中から書類を取り出した。よくわからないので解説してほしいと言う。これがけっこう時間がかかるが、断ってはいけないので、目を通してコメントについて話した。要するに血圧はこのまま治療してくださいということと、肝機能がを示す数値がほんの少し高いので精査が必要と書いてあった。すでに肝機能のごくごく軽度の異常値については承知していて、精査したところ、A型肝炎抗体が上昇していたので、以前にA型肝炎ウィルスに感染したことがあるためだろうと話したら、ようやく安心した顔になった。
  • 2017/3/28 9:05
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スリランカ人女性28歳、隣接するA市からの初診、お子さんを連れてご主人とやってきた。甲状腺が腫れているのではないかと言うのだが、たしかに腫れている。エコーでは均一像でたぶん橋本病ではないかと思った。採血して1週間後に来院してくれるようにお願いした。衣服からイスラム教徒とわかったので、タミール人か?と尋ねると、そうですという返事。スリランカには多数派で北インドから渡ってきたと言われる仏教徒シンハリ人と少数派で南インドからわたってきたというヒンズー教徒のタミール人がいて、長きにわたり、争いが続いていた。ヒンズー教にはカースト制度という身分制度があり、カーストが低い人やカースト制度の中にも入れない低い身分の人たちは集団でイスラムに改宗するのだと、35年前にスリランカを訪れたときに聞いた覚えがある。ただ、やってきた患者はどう見てもお金に困っている人たちには見えなかったが。ペルー人男性78歳、咳が止まらずに近くの医療機関を受診したところ、喘息ではないかと言われ、テオフィリンなどの薬を処方されたとのこと、お薬手帳を見せてくれた。内服してから動悸がひどくなり、中止して以前に診察を受けたことがある僕のところにやってきたのだが・・・動悸は1分間に100を超えていたらしい。テオフィリンを中止したら改善したとのことだが、彼が考えた通り、テオフィリンの副作用だと思う。中止してくれてよかった。フィリピン人女性52歳、いつも高血圧で拝見しているのだが、会社の健診の結果も持って現れた。この結果をすべて英語で説明、胆石症と書かれていたのでエコーでチェックを行ったら、大小3つの胆石が見えた。手術の話もしたのだが、受けたくはないの一点張りだった。土日は日本医師会の代議員会、慣れないことで疲れたが、全国の医師会からの代表質問の中にも個人の質問の中にも外国人医療に関するものは残念ながらなかった。代議員会でとりあげられる質問は事前に厳選されて、午前午後で計16題程度、これではやむをえまい。僕が神奈川県医師会を通じて提出していた外国人医療に関する質問はいわば最終候補には残っていたが、最後の最後で落ちてしまった。神奈川県医師会どころか関東甲信越医師会としての代表質問はわずかに一つなので、やむをえまい。こういう質問があるのだということをその過程でわかっていただいただけでもよしとすべきだろう。
  • 2017/3/27 9:00
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17歳の日系ペルー人の御嬢さん、前日から発熱していて母親といっしょにやってきた。高校に荷物を取りに行きたいそうだが、インフルエンザならそうもいかなくなるので、鼻腔から検査を行ったところ・・・泣かれてしまった。こういう涙には弱い。アメリカ人女性54歳、潰瘍性大腸炎の薬が欲しいとやってきた。症状もとくに変化がないらしいが、顔の表情が全くなく、どうやら精神科疾患のほうがうまくコントロールできていないような印象を受けた。夕方になり、日系ドミニカ人の8歳の御嬢さんが額にけがをしてやってきた。転倒して煉瓦にぶつけたらしく、出血が止まらない。母親は顔に傷が残るのではないかとすごく心配していたが・・・傷をガーゼで拭いてみると、傷自体は小さいということがわかった。縫合すると縫合の針穴が傷として残ることもあるので、思い切ってスリーMテープで固定してみた。するとそれ以上の出血はなくなったので、そのまま横に2本固定を加えて終わりとした。仕事を終えてから県医師会へ。午後7時半から医療と介護の連携についての県医師会主催の研修会の講師を務めたが、いつもは外国人医療について話しているのに、なんだか不思議な気持ちだった。
  • 2017/3/25 9:02
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