AMDA国際医療情報センター
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小林米幸: AMDA国際医療情報センター理事長

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またまた困った証明書をお願いされた。フィリピン人女性、9月30日に鉄欠乏性貧血にて初診、会社での健診のデーターからそのまま鉄剤を処方。10月4日、高血圧で受診しているお姉さんの付き添いでやってきたので結果を話した。Hg8.8 。その後きょうまで来院していない。鉄剤もまともに内服していたら10月28日に飲み終えているはず。休業証明書を出すと仕事を休んだ期間もお金が出るというわけだが・・・証明してほしい期間は10月8日から10月24日の17日間。証明書に記載欄がある「この期間に何日、受診しましたか?」については0日だ。一回も来ていない。だれがどう考えてもおかしな証明書だ。だって仕事に出られないぐらい具合が悪ければ医療機関を受診するのが普通だろう。受け取った会社の人も怪訝に思うにちがいない。ずる休みだったのかと疑われても「ちがいます」とは言いにくい。こういう時に証明書作成を依頼された側もつらい。彼女がこの17日間どのように具合が悪くて仕事を休み、どのようにすごしていたのかがまったくわからない。かと言って断るのも弱い者いじめしているみたいだし。というわけで僕はいつも客観的事実だけを書く。それをどうとらえるかは先方に任せざるをえない。問い合わせの電話があったら事実の通りに答えるしかないだろう。
  • 2011/11/14 17:14
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きのうの外来の続き、初診のフィリピン人男性、カルテの年齢は32歳なのにフィリピン人スタッフがフィリピンで飲んでいるという薬の瓶を持ってきて同じものが欲しいと言うので調べたら前立腺肥大の薬。こりゃおかしいと診察室に入ってもらったら・・おまけがひとりいた。フィリピンから息子を訪ねて3ヶ月ビザでやってきた父親だ。父親の薬だったというわけだ。日本では同じ薬が別の名前であるのでそちらを処方した。32歳の息子のほうはときどきおなかがごろごろして痛いと言う。過敏性腸症候群だろう。薬の処方と食事療法を指示した。仕事がストレスが多いと話していた。
 先週、のどの詰まり感で内視鏡を施行した中国人女性、食道の詰まり感より相当低い位置に乳頭状の隆起性病変があったのだが、肉眼的にはがんとは思えない。それでも絶対にがんではありませんとは言えないので不安な時間を送っていたはずだ。生検した病理結果が昨日の午後に届いた。やはり良性腫瘍である乳頭腫だった。結果が来ていると朝電話してあげたら飛んできた。病理の結果も詳しく話してあげたら喜んでくれた。ご主人はいなく、女手でふたりのこどもを養っていて、息子さんは来年大学卒業、娘さんはすこし知的障害があるらしい。フレーフレーがんばれと言いたい。僕の母も女手ひとつで僕を育ててくれた。
 フィリピン人男性、先週頭痛で来院。血圧が170/100だった。きょうは130/78。降圧剤がよく効いている。これてれでもういいと薬をやめてしまわないように大きな釘をさしておいた。
 インフルエンザの予防接種にやってきた初診の中国人女性、日本人のだんなさんとあかちゃんと来院。だんなさんの予防接種をしている間、ずっとしかめっつらをしていた。注射が嫌いだそうだ。なんとか説得して予防接種を終えた。だんなさん45歳、奥さん28歳。よくあるパターンだ。幸せになりますように。それにしてもこのあたり、外国人の奥さんが多い。
  • 2011/11/14 12:09
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ラオス人女性、50歳、腹痛で来院。あっちのこと、こっちのことと話すので聞いているうちに話が長くなってしまった。ベッドに寝てもらってお腹を触ってみると急性虫垂炎で痛くなる典型的な場所に痛みあり。採血すると白血球数はさほど高くはないが、CRPが4.8。0.4以下正常だから高い。とりあえず「サイティンにアクセープがある」とタイ語で言うとわかってくれた。日本語なら虫垂に炎症があるということ。抗生剤処方した。もともとタイ語とラオス語は似ているが、彼女のようにインドシナ難民として日本政府に合法的に受け入れられた人たちのほとんどはラオスから夜のメコン河を泳ぎ渡り、渡りつくとそこはタイ、そしてサケオの難民キャンプに収容され、そこで日本政府のインタビューを受けて日本で生きて行くことの意志の確認をされてからやってきた人なのでタイ語ももちろんよくわかる。僕はもともと大和市立病院の外科に勤務しながら昭和60年ごろから4年間近く、彼らの日本での受け入れ先であったインドシナ難民大和定住促進センターの嘱託医を兼任していたので彼らの事情もよくわかるし、彼らも僕のことをよくわかっている。お互いに戦友のようなものだ。そういうわけで彼女だけでなく、このあたりのラオス人、カンボジア人のことは裏の事情までよく知っている。
ペルー人女性、こども2人と本人と一家で下痢、発熱でやってきた。急性感染性腸炎と診断した。まずまちがっていないと思うが、こどもたちの小児医療票がない。国保、社保に加入していると大和市なら小学校卒業までこの医療票を持っていると無料になる。役所から申請用紙が届いているのに日本語があやふやで放置していたことが原因だ。こういうことって役所に言っても言ってもいまだにある。役所のほうも申請用紙の全ての文字を翻訳しなくとも、「こういう大切な書類です」ぐらいは翻訳して添えるべきじゃないだろうか。
フィリピン人男性、保険がない。腰が痛いとやってきた。「せんせい、胆石だと思う、ほらベジクラの石ね、おしっこも・・・」というので、「そうじゃなくて尿管結石だろう」と教えてあげると「尿管胆石か?」と言うので、そうじゃなくてね・・・と長い話になった。ところが診察の結果は尿管結石ではなくて腰の痛み、後ろに反ると痛いと言うので脊椎管狭窄症かもしれない。大きい病院に行ったところ、CTの検査をしようと言われたが費用を尋ねたら高額なのでやめたという。たしから僕のところは自費診療が保険10割だから市立病院の2/3になる。このようにお金で診療にわくをはめられてしまうとやりにくい。こういうケースは1週間に一人はいる。けっきょく、とりあえずの鎮痛剤だけ処方し、今回の痛みを取ることに専念することにした。本人にはどうしても鎮痛剤で痛みが取りきれない場合は検査を受けたほうがよいと伝えたが・・・
  • 2011/11/12 11:00
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きのうの帰り際、なじみのタイ人患者がやってきた。いつもの薬と風邪薬がほしいということだった。彼女の診察を終えて、一息ついたところでちょっと質問してみた。つい最近、別のタイ人女性から電話があった件だ。ときどき行くタイ料理屋がすぐ近くにあるのだが、そこを利用してくれと言うのだ。たしかあそこは経営者が別のタイ人と思っていたので、そこにまちがいないかと何度も尋ねたがまちがいない、自分が経営者になったという。そういうことも珍しいことではないので、じゃそのうち行くねと電話を切ったので世間話的にその話をしたら・・・驚いたことに「せんせい、かのじょね、逃げちゃった」と言うではないか。いつ?と聞くと「わからない、でも仲間が部屋に行ってもカギがかかっている、こどもも学校休んでいる、この10日ぐらいだれも会ってない」と言う。彼女はスナックをやったりタイ人クラブを開いたりしていた。スナックしながら料理も出したことがあって保健福祉事務所に届けを出さないでの料理屋は違法と営業停止になったのも昨年のことだ。彼女に限らないが、外国人とくにアジア人の中には日本の法律などへのかっぱという人が少なくない。自分の国でやっていたとおりのことをするのだ。そんなこんなでしばらくおとなしくしていたと思っていたらタイ料理屋を始めたと言うので商売の虫がまた頭をもたげてきたのかと考えていた。彼女は不法滞在ではないが、彼らが銀行から資金を借りられるとは思えない。だいたいは仲間内で頼母子講のようなことをしてお金の貸し借りをする。そうやってお金を貸したの?と尋ねるとそうだとのこと、けっきょく仲間に顔向けできなくなって逃げたのかもしれない。しかもマンションはというとタイ人の彼女とこどもでは借りられないので日本人男性に借りてもらい、その家賃を彼女が支払っていたが、その数か月分も踏み倒されたままだという、日本人男性が支払わなくてはならないというわけだ。まあこの日本人男性が妙な下心があったかどうかは別として、最悪の場合はどうなるかぐらいの覚悟はしていたのではないだろうか。どこに行ってしまったのか、またひとりこの街を去っていってしまった。
  • 2011/11/11 9:11
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きのうは朝8時半に僕が生まれ育った夕張郡栗山町の役場の若手が新千歳のホテルまで迎えに来てくれた。7歳で東京に来たものの、夏休み、冬休みは栗山ですごすということが祖父祖母が僕を手放す条件だった。だから大学生まで僕は年に2回は東京と栗山を往復していた。新千歳から由仁町三川に出て北上、由仁本町のすこし北にあるお寺に寄って先祖の墓に手を合わせた。帰ろうとすると建物からお坊様が出てきた。どちらの方で?と尋ねられたので、逆に彼に「あなたのお姉さまですか?、○○さんは?」と尋ねた。はいとおっしゃるので、ああ彼女の弟か、いっしょに遊んだっけと思いだして伝えたが、当時2歳か3歳の彼は覚えていなかったようだ。お母様は健在とのことなのでよろしくお伝えくださいと別れた。再度車に乗って北上、石狩川一の支流、夕張川を渡ると僕の故郷、栗山だ。ここにはいい思い出、いやな思い出、たくさんあるが、景色、山や川は大好きだ。本当に北海道らしく広大なところだ。ここで僕は夏にはトンボを手でつかまえ、セミを手でつかまえ、秋には近くの御大師山でリスを追いかけ、冬は毎日スキーで動物の足跡を見つけては追いかけ、春には時間があればかっこうの声を聞きながら夕張川で魚釣りをしていた。町役場の人が誇るだけあって町立図書館はすばらしかった。ここも経費削減で指定者管理制度でNPOが運営していた。あの柔らかさがいい。ここで館長に昭和35年の栗山町の地図を見せてもらった。当時のお店がみな書きこんであって、たくさんある親戚の家もよくわかった。町役場の前で数人の親戚と幼いころ、かわいがっていた女中さんの息子、たぶん彼もいま55歳ぐらいだろう、彼が待っていてくれた。町長といろいろと話をし、いっしょに食事をし、町役場の敷地内に立っている祖父の銅像の前で写真を撮って帰って来た。母のためにと寄付をさせていただいたが、こんなにしていただいてはこちらが恥ずかしい。かえって役場の人に迷惑をかけてしまったかと心配になった。帰りも若手が新千歳まで送ってくれた。前日の10時ごろ、ホテルにチェックインしてくつろいでいたら携帯にメールが入った。55歳になった例の女中さんの息子からだった。「お帰りなさい」と書いてあった。思わずジーンと胸が熱くなった。
  • 2011/11/10 9:01
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午前10時半ごろ、タイ人女性、来院。高血圧に高脂肪肝に境界型と糖尿病。本来タイ語の通訳がやってくる日で通訳を入れて診察するつもりだったが、ほかの患者の件で別の病院に同行しているので、意を決して自分で「通訳」しながら診察した。苦労しながらもわかってくれた。それにしても栄養指導までするのは大変だった。ちゃんと理解していてくれたらいいけど。前回200を超える血圧が投薬で150/100になっていた。あすは田舎である北海道夕張郡栗山町の町役場に用事があるので、きょうの診察終了後に羽田に行ってJAL最終便で新千歳に向かわねばならない。一泊してあすの夜にはこちらに帰って来る予定。いまだに先月の上旬の風邪ひきのときから耳がおかしい。ときどき急にこもったように聞こえる。こういうときに飛行機に乗ると離陸、着陸時にこもった方の耳が指でふさぎたくなるほど、痛くなる。耳鼻科の専門医に尋ねたら「風邪の影響で内圧がちがってなんとか中耳炎になっていて・・治りきっていないのでしょう」と言うので、抗生物質を飲んだほうがいいか?と聞いてみたら「様子を見るだけでいい」とのこと。今夜も飛行機の中でしかめっ面で耳を押さえることにならなければいいが。
  • 2011/11/8 14:22
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今日は自己嫌悪。昼前にこどもを抱っこしてやってきた41歳のフィリピン人のお母さん、隣の座間市からの初診患者。お子さんは小児科でいわゆる風邪とのこと。そのあと、お母さんは僕が拝見した。咳が2週間止まらず、痰もあるとはいうが、熱もなく、元気そう。風邪声でもない。呼吸音を聞いてもたいした異常はないのでいわゆる風邪と診断して薬を書いていたら・・・どうしても胸のレントゲン写真を撮ってほしいという。どうしても撮らなければいけないとは思えないが、本人がどうしてもというなら忙しいけどまあ撮ってもいいかなと思い、撮ってみたら右の肺に肺炎と思われる影。よかった、撮って。患者の判断に救われた。すこし恥ずかしいうえに自己嫌悪。忙しいのに・・・なんて思ってはいけない。しばらくぶりにガツンと頭を叩かれた気がした。午後からやってきたマレーシア人女性、イスラム教のシンポルであるベールというかスカーフを被っている。
呼吸音を聞こうとするとこの代物ががっちりとピンかなにかで止めてあって簡単には取れないようになっていて難儀した。彼女に「これはマレー語でなんて言うの?」と尋ねたら怪訝な顔をして「スカーフ」と答える。そうだ、マレーシアも英語圏、たしかにスカーフだ。ばかな質問をしたものだと今度は少しだけ恥ずかしくなった。
  • 2011/11/7 15:58
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土曜の仕事を終えて帰ろうとして待合室をのぞくと・・一週間前の金曜に体がだるいと駆け込んできたタンザニア人の男が幼い女の子を抱いて、あやしている。そうか、小児科にやってくるタンザニア人のこどもの父親は彼だったんだ。小児科でもこの子の父親とは気が付かなかったようなので、いつもは母親が連れてくるのだろう。ところで591もあった血糖値で市立病院を紹介したはずだが、入院しなかったということだろうか? 尋ねてみた。「あれ、もうよくなったの?」「よくなった」。「市立病院に紹介したはずだよね、行った?」「いや、行かずにこちらで教えてくれた駅の近くの専門医のクリニックに行った。いま薬、もらってる」。要するにあまりにも血糖値が高くてこのまま糖尿病性昏睡になっては大変と先週の土曜に緊急で市立病院に紹介状を書いたのに、たぶん入院がいやだったのだろう、そちらには行かずに前日に教えてあげた専門医のクリニックに行ったということだ。そこでコントロールしつつあるというならそれでもいいが。ここで妙なことに気がついた。彼の娘は公的保険に加入しているが、彼は加入していない。掛け金を支払わないなどの理由で彼が入っていないなら娘も入っていないはず。ということは保護者が母親になっていて母親が入っているのか、あるいは彼が父親ではないのか? まあどうでもいい、相談されたならともかく想像でものを言ってもしょうがないし。
  • 2011/11/7 9:09
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きのうの診察終了間際、となりの綾瀬市からペルー人の一家がやってきた。こどもたちは風邪、母親は胃が痛くての来院。僕のほうで母親を診察、43歳の彼女、胃がきのうから痛くて背中も痛いという。下痢はときどきあるが、今はない、ときどき胸がやけるようだともいう。痛みの症状を尋ねると「痛くなったり痛みがなくなったり」と答える。潰瘍や慢性胃炎にしては症状が合わないと思うが、本人が胃が悪いと信じ込んでいるようす、救急車で運ばれたことも2回あるとも話してくれた。彼女は「女性、40代、太目」の三つの要素をすべて満たしている。英語でいうとこれらに共通の頭文字にちなんで「Fの病気」と呼ばれる胆石症ではないかと疑って超音波検査を行ってみることにした。すると縦に切っても横に切っても胆嚢の中に石と思われる白い像が見え、その下方は抜けて真っ黒になっている。間違いなく胆石症である。胆石症に多い症状は右の季肋部痛であるが、心窩部といういわゆる胃のあたりに症状を訴える人もいる。背中が痛いというのもうなづけるし、痛みに波があるのも説明がつく。そのまま胆石症の説明をし、治療についても話をし、市立病院への紹介状を書いた。この間、彼女はがっかりした顔つきで椅子にすわっていた。たぶん手術になるだろうと言いうと「お姉さんが下腹部の手術で大きな傷があっていやだ」と泣きそうな顔で言う。内視鏡手術もあるから相談しなさいと言って送り出した。
  • 2011/11/7 9:06
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タイの洪水のニュースもバンコックの大潮の時期をすぎてテレビなど報道の回数が減ったような気がする。すでに乾期に入り、雨はまったく降らないかんかん照りというのに洪水とは我々の感覚では理解しがたい。治水と下水処理の遅れというのが洪水のもうひとつの重要な要因という指摘はあたっているのだろう。昨晩、親友のワンチャイ医師に電話してみた。彼の家はすでに洪水が押し寄せているドンムアン地区の西側、シェーンワッタナにある。「洪水はどうよ?」「ありがとう、まだ生きてるよ」。「家はどう?」「家はだいじょうぶ、水はない」。「だいじょうぶなんだな?」「うん、家は1センチぐらいしか水はない」。「1センチ浸水しているの?一階が?」「そう、1センチだけ、でも水が汚くて臭い」。きっと水が引いた後、事の重大さにみな気がつくにちがいない。臭さだけじゃない、家が腐ってだめになる。「クリニックはどうよ?」「あそこは15センチ浸水した」。彼のクリニックは繁華街シーロムの南側に近い、すなわちチャアプラヤ河に近いほうだが、近いという距離じゃない。「チャオプラヤ河が溢れたの?」「ちがう、どこか近くの運河が溢れた。だからほかのシーロム地区とお前がいつも泊るスークムビット地区はだいじょうぶだよ」。「こんな洪水じゃクリニックまで行けないだろう?」「行けるさ、俺ね、小さなボート持っているんだ」。いつもなら車で30分の距離をボートに乗って行くらしい。すごすぎる。「だれか政府に文句言わないの?人災だって言うし」「いまの首相に統治能力はないよ、ただタクシンの妹っていうだけだもん。だれがああいう人物を首相にしたのかわからん。実は15年前にプミポン国王が洪水に備えよって当時の政府に話しているんだ。ところが彼らだけじゃなくて歴代政府の首相以下みな政治的駆け引きやなれ合い、不正なお金のやりとりに走り、何もしなかった。そのつけだよ」。やりきれないというか何かをあきらめたような明るい声だった。バンコック病院の看護師たちなどほかの友人たちが心配になってきた。今度バンコックに行くのは年末、臭い街になっていなければいいが、この感じでは一か月でもとに戻るなんてことはなかろう。
  • 2011/11/4 9:06
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