AMDA国際医療情報センター
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小林米幸: AMDA国際医療情報センター理事長

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20171014のエントリ

最近、AMDA国際医療情報センターの外国人からの電話相談で急増しているのが、母国からやってくる親族・友人の病気治療の相談だ。海外から病気療養目的でやってくる場合には本来、医療ビザが必要だ。数次のビザで温泉での湯治までその対象となり、また病人がひとりで来日するのは困難なので、その介助の人もビザの対象となる。ところが現地日本大使館にビザの申請をしなくてはならないうえに、医療機関の紹介など専門業者に依頼しなければならない部分があり、それだけでも高額になってしまう。日本にいる親族・知人が受診する医療機関を探し当てれば、医療ビザを取得する必要もないし、仲介業者に高額なお金を支払う必要もない。しかし、以前はビザなしで来日することが不可能な国が多かった。親族訪問でやってくる人たちの中に滞在中に治療を受けたいという人たちがいた程度だったのだが・・・この数年、外国人観光客を増やそうという国交省や観光庁の思惑からとくにアジアの国々に対する15日程度のビザなし渡航が解禁となり、観光ではなく、医療そのものが目的でやってくる人たちが急増しているのだと思う。たぶん法務省が医療ビザを創設した裏には、医療ビザの取得要件に経済的ハードルを設け、来日後に医療機関で治療を受けた後に「支払えない」などという、いわゆる医療費未納のトラブルを極力避けるという目的があったのではないかと推察する。しかし、こういう思惑もビザなし渡航の解禁であてがはずれつつあるのではないかと思う。日本の医療機関にアクセスすることは簡単になったが、医療機関にとっては悩みの種なのではないだろうか? 日本に住む親族や知人の言葉を信じて、患者を診察しても余病が見つかり、ビザの延長などの書類作成を依頼されるとか、保険外診療で支払えないなどというトラブルを抱え込む可能性が高いからだ。実際、僕のクリニックでもこの1か月のうちに次のようなことがあった。カンボジア難民として来日定住している方から母国にいる自分の母親の治療を日本でしたいと相談があった。彼女の話ではタイの病院で診察を受けて、食道の腫瘍という話だった。数週後に母国からの資料を持ってやってきたときに全部読んでみると、甲状腺腫、それも良性の甲状腺腫と書いてあった。これなら時間も費用もそうかかることなく、治療できるだろうと知り合いの病院でおおよその金額を計算してもらい、支払えるということで話を進めていたのだが・・・実際に母親がやってきて術前の診察を受けたら、心臓疾患が見つかり、大学病院レベルでの治療が必要になってしまった。大学病院での保険外診療費用が支払えるかも問題だし、親族訪問ビザで許可された3か月以内に治療が完結するかもわからない。こんな難問を押し付けた私は大学病院からみたら、好ましからざる人間なのかもしれない。
 話はもとに戻って・・・親族や知人が日本にやってくる、医療機関には自分たちが連れて行くので、治療できる医療機関を教えてほしいという電話相談に応えて、AMDA国際医療情報センターが医療機関名を告げたとしたら、そしてその件で当該医療機関で医療費の支払いなども含めてトラブルが発生したら・・AMDA国際医療情報センターは好ましからざる組織として医療機関から嫌われるかもしれない。いや、その可能性は非常に高いと言わざるをえない。そうすると長い年月をかけてつくりあげてきた医療機関との信頼関係が崩壊しかねない。それは電話相談と医療機関からの電話通訳も行っているAMDA国際医療情報センターにとっては致命傷になりかねない。そういう理由から、日本に滞在する人から海外にいる親族・知人の病気療養についての受け入れ医療機関に関する電話相談には対応しないという方針を出したしだいだ。ぜひご理解をいただきたい。
  • 2017/10/14 9:00
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