AMDA国際医療情報センター
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小林米幸: AMDA国際医療情報センター理事長

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20170829のエントリ

午後の診察が始まってすぐ、看護師からこう告げられた。「窓口にカンボジアにいる母親が食道がんなので、日本に連れてきて手術をしてほしいので相談したい女性が来ているのですが、どうしますか?」と。見たことがある女性か?と尋ねると、ありませんという返事。誰か難民仲間に僕のことを聞いてやってきたのだろう。食道がんの手術ともなると高額になる。日本の自分の公的保険に扶養家族として入れることもできないし、すなわち自費診療になるので。とりあえず、こういう話をしてあきらめてもらおうと会うことに決めた。診察の順番になり、入ってきた女性は年のころ、40台。極めて正確に日本語を話す。母親は70歳で、首にしこりがあり、住んでいるカンボジアの医療機関はまだまだ信用できないので、国境を越えてタイの病院で診察を受けたとのこと。バンコクの病院?と尋ねると、ちがいますと言われた。国境の近くというので、ポイペトから国境を越えたアランヤプラテート近くの病院かと尋ねたら、これもちがうと。スリンの病院ですとの彼女の発言で驚いた。国境を北に超えて、チョンチュムの市場を通ってスリンの病院へとのこと、今年の正月に行ったあたりだ。たしかにあのあたりはカンボジア系のタイ人が多い。病院のレポートを見せてもらうと、そこには甲状腺のgoitarと書いてあった。穿刺細胞診の結果は悪性ではなく、良性。受付で聞いた「食道がん」は実は「甲状腺の良性腫瘤」だった。保険外診療という言葉が彼女の口から飛び出した。きっとまわりのカンボジア人仲間ではカンボジアから親族がやってきてなにかで病院を受診し、「保険外診療」になることがあるので、こんな単語を知っているのだろう。いろいろと調べると麻酔を含めて保険外診療10割で30万円程度は覚悟しなければ・・・と話すと、タイの病院で手術を受けると20万円ぐらいかかるし、タイ語の通訳を探さなければならないから、それでも日本の病院で手術を受けたいと言う。安請け合いはできないけど心当たりがあるので、次のときに詳しいデーターを見せてほしいと話して、それからしばし雑談した。95年に来日してインドシナ難民大和定住促進センターに入ったと言うので、それって呼び寄せだよねと尋ねると、「そうです」と顔を輝かせた。難民となり、日本と故国に引き裂かれた家族を再び、いっしょに生活するために日本政府が考えた制度だ。95年といえば、すでにインドシナ難民自身の受け入れは終わっていたので、そのころにやってきたというからには「呼び寄せ」しかないと思ったしだいだ。最後に、どうして僕のところにやってきたのか?と訊ねてみた。難民関係のカンボジア人たちに誰に相談したらいいかと相談したら、皆に僕の名前を言われたとのことだった。なんだかうれしい話。彼女が帰った後、AMDA国際医療情報センターの副理事長を務めてくださっている中西先生に電話で相談してみた。するとおおよそ保険外診療10割でやってあげるよという返事をありがたくいただいた。あとは詳しいデーターを彼女に持ってきてもらって確認するのみ。
  • 2017/8/29 9:00
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