AMDA国際医療情報センター
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小林米幸: AMDA国際医療情報センター理事長

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20170127のエントリ

10年前ごろからときどきやってくるペルー人男性53歳、最後に診察したのは2年前、腹痛と下痢でやってきた。カルテをみると保険証番号が消されていた。今は日本の公的保険に加入していないということだ。公的保険に加入していない≒不法滞在というわけではない。外国人でも3か月以内の短期滞在や外交官、駐留米軍関係者は公的保険には加入できない。それ以外の外国人は加入できる、いや法律上は加入資格のある人は加入の義務があるのだが、罰則のない義務のため、せっかく加入の資格があるのに意図的に加入しない人たちがいる。これらの人々は大きく二つに分けられる。第一のグループは故国で民間保険に加入しているため、日本の公的保険と「だぶって」加入することに意義を見出さない人たちである。こういう人たちは欧米のいわゆる先進諸国といわれる国々の出身者が多い。ただし、彼らが「意義を見出せない」のは日本の公的保険に関する正確な知識が足りないからと考えられる。高額医療費助成制度や妊娠出産で一時金が支給されること、何より民間会社の保険と異なるところは適用される医療費に上限が課せられていないことだろう。そして第二のグループは加入資格はあるものの、故国の仕送りに追われたり、病気でもないときにも掛け金を支払う日本の公的保険の互助会的システムを理解できずに、加入しない人たちである。南米からの日系人を中心とした出稼ぎの人たちに多い。彼もまちがいなくこのグループの一人と思う。風邪程度なら毎月、掛け金を支払うより、自費で支払った方が安いだろうと考えるのだが、深刻な疾患に罹患した場合、医療費が支払えないということになりかねない。実際にそのような場面になって加入しようとしても国保税という概念で掛け金を徴収している市町村自治体においては過去3年分の支払うべきだった掛け金を支払わないと加入することができない。それもできないとなるといよいよ医療機関に未納金を積み上げる可能性が高くなり、そうなると医療機関としても他人事ではなくなってしのう。彼にはなぜ保険に加入しなくなったのかを質問しなかった。しなくても理由はわかっているし、長く日本にいる彼自身もそのデメリットを十分知っているはずなので。
  • 2017/1/27 9:00
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