AMDA国際医療情報センター
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小林米幸: AMDA国際医療情報センター理事長

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201609のエントリ

初診のペルー人男性59歳、数日前から左下腹部が痛いと同じペルー人の奥さんに付き添われてやってきた。ベッドに寝てもらってここが痛いというところを触るとこぶし大のしこりを触れる。便は毎日、「普通」に出ているし、便の色も「普通」だそうだ。これだけ聞くとたぶん消化管疾患ではなさそうだと推察できる。こんなに大きなしこりが大腸、小腸にあったら腸閉塞になってしまうし、ならないまでもしばらく前からなんらかの症状があったろうと思うからだ。念のために直腸肛門診を行った。肛門から指を挿入して直腸の入り口まで触るものだが・・・この行為は実に簡単だが、面倒な前処置や高価な器械を使わないのに、得られる情報が多い。直腸疾患の有無、直腸と壁を隔てて接している前立腺や膣、子宮の情報、そしてダグラス窩の状況から場合によっては胃がんなどの腹膜転移の有無もわかることがある。ゴム手袋に付着した便の色から情報が得られることもある。とくに検査がしにくい高齢者やその場でなんらかの判断をしなければならない場合は有効な検査法だ。彼の場合は前立腺が表面がスムースに肥大している以外の所見はなかった。エコーで見ると膀胱の中になにやら隆起物があり、続けて行った尿の検査では潜血反応が2(+)だった。明らかに異常所見だ。たぶん膀胱の腫瘍だろうと思い、近くの公立病院の専門医に情報提供書を書いた。こういうときに日本語が不自由な患者に対して診察、治療を行う専門医の苦労も十分に理解できるが、ぜひやさしく診てあげてほしい。
  • 2016/9/12 9:00
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一昨日AMDA国際医療情報センターに相談があった13件のうちのひとつ。某中東の国の女性からの相談で、「同僚の友人のお子さんがいて、生まれつき足の筋肉が動かずに立てない。自分の国の医療機関では何もしてもらえなかったので、日本で治療をしてもらおうと本人はすでに来日して国保加入手続き中、医療機関を紹介してほしい」という内容だった。
 国保手続き中ということはその両親は短期ではない滞在ビザで、住民基本台帳に記載されて日本に今、現在いるということなのだろう。数日前にも書いたが・・いま、毎年のように国保や社保の掛け金が上がっている。国民皆保険制度を維持するために皆が苦労して負担しあっているのに・・・外国人については加入が義務で掛け金を支払わねばならないはずの人が「拒否し」、医療目的で来日し、皆が支払った掛け金から医療費を使う人ばかりが増えるというのはいかがなものかと思う。しかも3年以内に両親とともに帰国すれば、どんなに収入があろうとも月額最低のランクの掛け金で医療が受けられるし、年齢を考慮すれば小児医療で医療費が免除になる可能性が高い。このお子さんひとりにとってみれば医療費の負担が格段に安くなるということだろうが、こういう医療ニーズを抱える家族を母国から呼んで、その費用もすべて国保・社保で負担して「垂れ流して」いたらたぶん早晩、国民皆保険制度は崩壊するだろう。ヒューマニズムという一言では片付けられない深刻な問題だ。こういうケースを見ていると強い危機感を抱くのだが、厚労省はちゃんとこういう状況があることを把握しているのだろうか? 何も考えていないのだろうか。日本に合法的に長期滞在している外国人に国保、社保を適用するという考え方はきっと公的保険制度が開始されたときに、あるいはその後、戦前から日本に住んでいる在日韓国人、在日中国人の存在に配慮して決定されたことではないかと思う。その頃、いわゆる「ニューカマー」と呼ばれる外国人にも国保・社保の門戸を開放するかしないかとか、するとしたらどのような条件でするとか、そういう国民的話し合いはあったのだろうか? 外国人をめぐってはすでに時代が別の状況になってしまっていると思う。このケースに代表されるような新たな状況で発生している問題をきちんと解析し、対応しておかないと致命的状況が訪れるのではないかと思う。
  • 2016/9/9 9:00
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フィリピン人女性45歳、ときどき隣の市からやってくる。前回はもう2年前になるか、頸部リンパ節が腫脹し、生検の結果が結核で1年間抗生物質を内服してもらった記憶がある。今回は具合が悪い、だるいととらえどころのない症状で、血圧も異常なく、頸部のリンパ節に腫れもなく・・・ときどき吐き気がするともいうが、何を疑っていいものやら悩みながら話を聞いていた。簡単な検査から行おうと検尿して、異常なし、糖も出ていない。すると自分から「ストレスかも?」と言い出した。どういうストレスなの?と尋ねると・・・日本で貯めたお金をフィリピンの家族に送って家を建て直しているそうだ。その金額がトータルで500万円。フィリピンにいる姉に紹介された大工さん?あるいは建設会社?に頼んでほとんどの支払いはしているが、遅々として工事が進まず、とうとうフィリピンで訴訟をおこしたそうだ。そちらにもお金がかかり、どうしていいのかわからないと。よく日本人がフィリピンに限らないが、海外に家を建てようとか現地パートナーと仕事をしようとしてお金のトラブルに巻き込まれるというのは聞いたことがあるが、フィリピン人でもこんなことがあるんだと思った。フィリピンに住んでいるわけじゃないから見に行こうにもなかなか行けないとため息をついて話していた。バブルのころだけど、日本で働いていたタイ人男性が田舎の奥さんに家を建てるためにお金を送り、家が建ったころに帰国してみたら、家はなく、奥さんも蒸発していたということがあった。田舎に生活のために送ったお金がすべてばくちで消えてしまっていたというケースも知っている。フィリピン人もタイ人も親思い、家族思いの人が圧倒的に多く、悪く言えばそれを食い物にする親戚や周囲の人たちもいるわけで・・・彼女のストレスはしばらく続きそうだ。
  • 2016/9/9 9:00
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67歳の日系ペルー人の女性、67歳にして初めての内視鏡検査にやってきた。日本人でも内視鏡検査に恐怖感を覚える人は少なくなく、のどの麻酔だけではなく、サイレースを1/10に薄めたものを静脈注射して軽く寝てもらって行う方法を希望する人も多い。日本人の場合は内視鏡検査に対するアレルギーというか恐怖感はあまり強くないと思う。なにしろもともと胃がんが多い民族であり、内視鏡検査が身近なものになっているからだと言えるだろう。ところが外国人の場合、日本人よりは内視鏡検査に対する恐怖感が強いのか、またなじみが薄いためか、のどの麻酔だけで行えるという人は極めて少ない。サイレースの静脈注射をしても抑制がとれてしまうせいか、抵抗する人が少なくない。マウスピースを噛んでもらっていてもほんの少し油断したすきに内視鏡を噛まれてしまい、修理に50万円かかって泣いたこともあった。それゆえ外国人に内視鏡検査を行う場合は細心の注意で行っているのだが、この日系ペルーの方は「のどの麻酔だけでだいじょうぶと思う」と言い放ち、その通りにごく普通にげっぷもなにもせずに終わってしまった。ちょっと拍子抜け。褒めてさしあげた。そういえばはじめて一人で内視鏡検査を行ってからもう40年ぐらい、あのころはずいぶんと太かったが、今の内視鏡は本当に細くなった。
  • 2016/9/8 9:00
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先週の金曜日にAMDA国際医療情報センターに寄せられた相談から。センター相談員の返答がパーフェクトなので紹介しておきたい。千葉県在住のペルー人から、在住資格があり、自営業を営んでいるが、公的保険には加入するつもりはないが、こども手当を申請するにはどうしたらいいだろうかというものだった。市役所にこども手当についてすでに問い合わせたが、まずは国保に加入するように言われた、しかし自分は自由の身なのだから高い保険料を払うことを強制されるべきではないはずだという内容だった。相談員の返答は「日本に在住している市民として義務を果たさずに手当を受ける方法はありません。公的保険への加入は義務です。」とのことだが、しごく正しい。子ども手当は少なくとも3か月未満滞在の短期滞在の外国人にも支給されるものではない。合法滞在であることが条件であり、短期ではない合法滞在となると日本人と同じように国民皆保険制度が適用されることになる。それでも加入しないことについては罰則はないが、加入は「義務」とされている。なんでもかんでも日本にいるなら日本に合わせろというのは基本的人権から見て疑問符がつくときもないことはないと思うが、しかしこの場合は話がちがう。こういう「いいとこ取り」をしようとした結果、入院を伴う大きな病を抱えた際に結局は医療機関での保険外診療費が支払えず、あわてて国保に加入しようとしても法律により過去2年分または3年分の月額掛け金の総額を支払えと言われ、そのお金が支払えずに最悪の場合は医療機関に未納金という赤字を積み上げることになる。こういう例を今までいくつ見てきたことか。日本の国民皆保険制度は健康な時にも掛け金を支払うことによってできた財源で、病に倒れた人を支援する互助会的発想の制度だ。互助会に入らない人が多くなれば、この制度は崩壊する。こういう基本的な精神とルールを日本で暮らし始めるときに外国人にわかってもらう仕組み作りがまだ遅れていると思う。
  • 2016/9/6 8:59
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56歳のペルー人男性、数か月前に受診した時に既に有効期限の切れた保険証を使ったようで、その後の診療報酬を請求に対して国保連合会より「すでに無効です」という返事がきた。すると医療費のうち窓口で支払った3割を除く7割が未払いということになる。こういう場合は当然ながら本人に払ってもらわねばいけないのだが、いくら言っても支払ってくれない人が少なからずいる。これは外国人でも日本人でも同じだ。今回、窓口ですぐにその人物とわかった。しかも前回と同じ保険証を提示したようだ。受付の事務職員がこの保険証は使えないと話したところ、お金がないのでじゃいいと言って帰ってしまったそうだ。このケースはけっこう悪質かもしれない。土曜日にやってこられると保険証の確認をしようにも事業所も役所もお休みで確認しようがないからだ。あのまま別の医療機関を受診したら・・きっと保険証が無効であることはわかる術もなく、保険診療してしまうだろう。仕事をやめた等で保険証が無効となった場合は保険証を返納することになっているのだが、それに対して明らかに故意に応じない人もいる。返納というのは相手の同意を期待してのこととなるが、結果的に返納せずに医療機関に経済的迷惑をかけている現状は医療機関の経営者としては看過できない。もう少ししっかりとした対策がとれないものか。
  • 2016/9/5 9:00
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最近のAMDA国際医療情報センターに寄せられる相談を見ていると、なかなかその場で答えられないようなものや専門家を探すのがむずかしいもの、そして心の病など・・・考えさせられるものが多い。それだけ信用されているということなのだろうが、相談員と後ろでバックアップしている事務局員の努力と苦労がわかる。
僕のクリニックでは夕方の4時にベトナム人の認知の患者について、家族に周知することや日本での介護のシステム、介護意見書の作成などについて本人と娘さんに説明することで、約束ができていたのに・・けっきょく本人と娘さんは来ず、クリニックのベトナム人通訳だけが来てくれた。ご主人を診察した時に、何度話しても本人が病院には行きたがらないと話してくれたので、そういうことなのだろう。本人はとても品のある柔和な方なので、この頑固さに驚かされたが、これは病の1症状なのかもしれない。けっきょく何も解決へ向けて動き出さないままになってしまった。なんだか不完全燃焼。だれかれに怒ることではないのだが、どうしてこのようなことになってしまうのか? 今後を考えると目の前の問題の高さに圧倒されそうになる。
  • 2016/9/3 9:00
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カンボジア人女性80歳、日本語はまったく話せず、いつも御嬢さんがついてくる。この御嬢さんたちとももう30年近くのつきあいになってきた。お母さんが具合が悪いというので、具体的に尋ねてみたら下痢と腹痛で、症状から感染性腸炎と診断した。そしていつもの治療も。アメリカ人の成人男性が二人続いて、その後にタイ人女性。3人とも高血圧。ああきょうもこれで終わりかと思った4時45分ごろ、ドイツ人女性から電話があった。2歳になるお嬢ちゃんと犬の散歩をしていたが、お嬢ちゃんが犬のリードを持ちたがり、つい渡したらそのタイミングで犬がダッシュして・・・お嬢ちゃんは引っ張られて転倒、口の中から出血して大慌てで電話してきたらしい。10分ほど待っていると、やってきたが、お母さんはちょっとパニックになりかけていた。あーんというと泣きながらも口の中を見せてくれた。出血があり、ぬぐっていくと、前歯にぶつかって口腔内が切れていることがわかった。こういう傷は縫合しない。よほど切れていないと縫合しても糸は自然にとれてしまい、意味がない。また縫合しなくても治る。この話をしたらお母さんは少し落ち着いてきた。頭や口腔内、舌などは小さな傷でも大出血することがあるから驚かないようにとも話して一件落着。お嬢ちゃんは最後にはバイバイして帰って行った。平和な一日。
  • 2016/9/2 9:00
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8月30日に書いた日系ブラジル人患者のことで近くの公立病院の血管外科の専門医から返事が来ていた。あけてみると「手術適応なので術前検査を始めます」と書いてあった。お金の問題があるので直接医師にではなく、まずは地域連携室のソーシャルワーカーあてに情報提供書を書いたので、支払いの方法について双方が納得するような結論が得られたのだろう。30日はさらに頭を悩ますようなことがあった。30代のカンボジア人男性が、直接先生にだけ話すと言って受付に来ているという。カルテができて本人を呼ぶと・・・患者は本人ではなく、カンボジアにいる親族のひとりということだった。どさっとカンボジアの病院での検査結果等を出されて、ほかの患者が待っている中でこんな英文書類を今読んで今結論を言わねばならないのかと少々あせった。読み始めてすぐにおよそのことはわかった。自己免疫性溶血性貧血で副腎皮質ホルモン剤の治療を受けているのだが・・・日本で治療ができないかという相談だった。まず血液疾患については専門外でわからないので、専門医に情報提供書を書いた。そして治療費は「あなたの保険には入れないので保険外診療となり、いくらになるかはわからないが、高額になることはまちがいないだろう」ということと、医療ビザについても説明はしておいた。この日の診療も実は彼の保険は使えないので、保険外診療でもらうべきなのだろうが・・簡単な情報提供書も作成したが、もらわなかった。ただ専門医のところではあなたの名前では受診できないから保険外診療になるよとは話しておいた。こういう相談、相談だけならいいのだが、クリニックの受診券とカルテをつくってしまっていて、その費用が実費で300円ぐらいかかっている。次回からこういうケースはこの実費分はもらうことにした。
  • 2016/9/1 9:00
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