AMDA国際医療情報センター
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プロフィール

小林米幸: AMDA国際医療情報センター理事長

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20160315のエントリ

昼休みも近くなってフィリピン人男性27歳来院。クリニックのフィリピン人通訳スタッフが言うには「痛くていすに座れない」とのこと。まず頭に浮かべるのは痔核いわゆるいぼ痔で血栓で腫れあがったひどいタイプあるいは肛門周囲膿瘍という痔ろうの初期の形態だ。ベッドに横になって見せてほしいと話しても、なぜか下向きになってしまい、横を向いてくれない。いずれにしてもなんらかの処置が必要になるだろうと奥の小外科のベットに移動してもらってから診察した。ズボンをおろすと臀部の右側に大きな発赤と腫れがあった。触るとうめき声をあげる。これは感染性のアテロームにちがいないと考えた。局所麻酔で切開し、膿を出さねばならないが、このあたりは皮膚も厚く、ある程度の深さまで切り込まないと膿瘍に達しないこともあり、やっかいだ。ここまで話をして注射器に局所麻酔液を吸い上げているのを彼が横目で見た。そのとたんに号泣、フィリピン人通訳にしがみついて泣いている。フィリピン人は注射に弱いのか、採血をしようとすると大騒ぎする女性はときどきだが見かける。こんな時は大変でスタッフの誰かが腕を押さえつけていないと、注射の針が刺さったとたんに腕を引き抜いて血液が飛び散った苦い経験もある。ただ成人男性にここまで泣かれたことはない。そして局所に注射。泣き声はピークに達したが、その後は局麻が効いたのか、おとなしく切開をさせてくれた。昼休みになって徒歩2分のスーパーのレジでお弁当代を支払っていたら、この彼がにこっとしながら横を通った。先ほどまでの痛みでようやく歩いている感じとはほど遠いスタスタとした歩き方。よかった。
  • 2016/3/15 9:00
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