AMDA国際医療情報センター
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プロフィール

小林米幸: AMDA国際医療情報センター理事長

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理事長 Dr.小林米幸の独り言カテゴリのエントリ

タンザニア人男性42歳、受付でフィリピン人スタッフが受診内容を尋ねたところ、ドクターにしか話さないと言っていると教えてくれた。これでおよその見当はつくのだが・・・日本にやってきて8か月、この2~3か月ぐらい、自分のおなかの中でなにかがすごく動く、それはとくに食後に強いとのこと。便の性状を尋ねると軟便ときどき下痢と答えてくれた。通常なら、ここで過敏性腸症候群を考えるだろうと思う。動いているのは胃や腸で、食後に強く動くのは蠕動運動が激しくなるから、そしてそれで消化が悪くなったと考えると、すべて合点がいく。ところが、そう話しても、目がうわの空で、なにか別のことを考えているのがよくわかる。「タンザニアはアフリカの一国で、国には多い病気がある」と話し始めたので、「ああ、エイズのことが心配なの?」と尋ねると、「それは心配していない」ときっぱり。「ワームが心配」と言う。要するに寄生虫疾患が心配ということだ。タンザニアでは寄生虫疾患が多いらしい。昔、大和市立病院の外科にいて、インドシナ難民大和定住促進センターの嘱託医を兼務していたころ、多くの難民が寄生虫を持っていたことを思い出した。それにしても、外からおなかが動いていると感じるほどの寄生虫っているのだろうか? 検便の容器を渡し、末梢血の検査を行った。こういう訴え、外国人を診察し慣れていない医師にとってはなかなか理解しがたいのではないかと思った。
  • 2017/6/17 9:00
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火曜の昼休み、職員休憩室でくつろいでいると、電話が鳴った。取った職員が、先生、英語です、お願いしますと言いながら、受話器を僕に渡そうとした。正直、こういうシチュエーションは苦手だ。でも目の前に差し出された電話に出ないわけにもいかず、受け取って部屋の外に出た。出た理由の一つは室内のテレビの音が入ってしまうこと、もうひとつは英語力のなさを職員に知られたくないから。ああ、もう一つある。海外の保険会社などから協力して日本に行くクライアントを診てくれないか?とか、いろいろな売り込みがあるからだ。だから診療中にはフィリピン人スタッフに出てもらって、ワンクッション置くのだが。たまたま昼休みで自宅に戻っていた。電話の主は若い女性で、雇用のための健康診断をして、診断書を作ってもらえるか?ということだった。冷静さを取り戻し、どんな項目の検査が必要なのか、血液検査があるのかないのかと尋ねると、日本語が読めないのでわからないとの返事。血液検査があることを想定して、禁飲食で来てくれるよう、そして水曜は休診日なのではずしてくれるように頼んだ。木曜の朝、行くと言って電話は切れた。休憩室に戻って、職員に電話の内容を話し、「長くこういう仕事をしていると英語の発音でどこの人かわかる、あれは少なくともフィリピン人の英語やインド人の英語ではない」と余計にも付け加えてしまった。きのうの木曜の朝、それらしき若い女性がやってきた。フィリピン人のスタッフを見て「あのお、フィリピン人?」と尋ねたそうだ。そうだと答えると、ほっとしたような安堵の笑顔になったと聞いて、こちらもうれしくなった。そう、フィリピン人女性だった。インターネットで英語が通じる医療機関を探して、僕のクリニックに行きついたと話してくれた。さて、健診だが、胸部レントゲン、心電図、尿そしてやはり血液検査があった。採血をする段になると、悲鳴に近い騒ぎ方。職員が「手際よく」抑えながらすぐに採血できたのだが、目に涙。こういうリアクションもフィリピン人女性まちがいなし。あすの午後には書類を作成しておくと話した。
  • 2017/6/16 9:00
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午後になって看護師がなにやら手に持って診察室に入ってきた。「先生、ラオス人の○○○○さんからのプレゼント、ほらぁ、いいにおい」と手に持ったものを見せてくれた。袋の中に入っていたのは・・・一瞬ドーナッツかと思ったけど、パッコントーだ。タイのお菓子というか、揚げパンに近いが、揚げパンでもない、でも少しだけ砂糖を振りかけて食べるとうまい。タイの屋台でも売っている。みんなで食べようと言ったら・・・職員の分ももらったと教えてくれた。で、きょうはどうしてやってきたのだろう?と尋ねたら、特定健診だった。普通は特定健診を受ける人は午前中の早い時間にやってくる。禁飲食が条件だからだ。ところがどうして午後に?と思って、訊ねたら・・午前中は僕らにあげようとパッコントーを作っていて、それで気がついたら昼に近くになってしまったので、この時間に来たとのことだった。苦笑してしまった。タイ人、ラオス人の患者はなにか作って持ってきてくれる人が多い。高価なものじゃないけど、僕の好きなものばかり。心遣いにうれしくなってしまう。
  • 2017/6/15 9:01
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高血圧で降圧剤を定期処方しているフィリピン人女性54歳の診察が終わった直後に、フィリピン人スタッフが「胃が痛くて胃の内視鏡検査もしてほしい」と言っていると教えてくれた。きのうは午前に通常診療の合間に上部消化管内視鏡検査が2件、午後も診療の合間に上部消化管と下部消化管の内視鏡検査が1件ずつ予約で入っているので、ちょっと無理かと思ったが・・・検査を受けるつもりで飲食しないで来ているという。うーん、こちらの都合も考えずに・・などと思いたくもなる。昼休みに保健福祉事務所と教育委員会との面談の予定が入っているのに、これでは昼休みがなくなってしまうと暗い気持ちになりかけた。こういうときは悩まずにさっさと検査してしまったほうが早い。奥の内視鏡室で準備をしてもらうことにした。しばらくして準備ができたとのことで内視鏡室に行って、ベッドに寝ている患者の顔を見たら・・・ちがう、さきほどのフィリピン人女性ではない。同じ高血圧でフォローしている64歳の女性だ。フィリピン人スタッフに思わず、「人がちがう」と話すと「そう、さきほどの人ではありません」という返事。僕が早とちりだったのか。喉の麻酔だけで検査を開始、前庭部後壁に大きくて深い潰瘍がある。辺縁はスムースでがんの心配はないと確信した。終了後、診察室で彼女に遅くなった問診を行った。やはり背部痛もあるという。あの潰瘍の場所からは膵臓に炎症が及んでいるにちがいない。内服薬を処方。きょうやってもらってよかったと感謝の言葉を残して彼女は帰って行った。
あの潰瘍ではさぞかし痛かろう。早く検査してあげてよかった。
  • 2017/6/13 9:00
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おとといはベトナム人スタッフがやってくる土曜日、やはりベトナム人が多い。ベトナム人男性66歳、この半年ぐらい、精神的に不安定になっており、心療内科か家族が受診している近くの精神科病院を受診するように話しているのだが、いやだと聞き入れない。睡眠導入剤で寝ることはよくできるようだが、アルプラゾラムの通常量では不安定になるときが多いらしい。診察室に入って来るなり、ベトナム人スタッフにならやら厳しい顔でまくし立てていた。「あなたの意見は入れないで自分の言ったことだけ伝えてほしい」と言ったとスタッフが教えてくれた。スタッフとの間の信頼関係が揺らいでいる。やはり専門家を受診したほうがいいと思い、提案したが、聞き入れなかった。フィリピン人男性48歳、またまた痛風発作。痛みが強そう。英語がわかると思っていたが、英語で僕が説明し終えたことを上手な日本語で聞き直してくる。英語で話した時に、わかったというようなことを言うのだが、ちっともわかっていないとその時に気がついた。おまけに日本語が上手なのは普通の会話であって、医学的な話になると噛み砕いて話してもわからない。彼のようなフィリピン人は少なくない・・・というより多いのだろう。やはりフィリピン人スタッフに日本語で話し、フィリピン人スタッフにタガログ語で説明してもらったほうが確実に理解してくれる。英語ができても、そこそこ日本語が上手でも、フィリピン人が僕のクリニックにやってきてくれるのはフィリピン人スタッフとタガログ語でやりとりできるからだろうと思った。
  • 2017/6/12 9:00
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カンボジア人女性78歳、雨の季節になっていやだね、先生と。たしかにカンボジアにも雨季はあるし、それも梅雨よりはるかに長い半年だが、ザーッとスコールが来た後はお日様が出てカンカン照りになる。梅雨は朝から晩までじめじめしてうっとうしいからいやだというわけだ。いつもの診察のあと、次の診察時に特定健診を行うことで話が進んだ。毎年、検査の当日、尿を採ろうとクリニックのトイレに入っても、出ないそうで・・・採尿のときの注意ごとを話して、紙コップとスピッツを渡しておいた。こんなことで笑顔で感謝された。同じくカンボジア人女性63歳、潰瘍性大腸炎の診察を終えて、帰り際に「せんせい、またきてたからこれ」と大きな封筒を渡された。ああ、毎年の難病申請の用紙だなとは気がついたが、待合室に人がたくさんいらっしゃる気配がするので、そのまま預かった。日本語で書けない彼女の代わりに、主治医が記載するところ以外も僕が毎年書いている。昼休みにカルテを見ながら用紙をよく読むと、記載のためにしておくべき大腸内視鏡と血液検査がまだ行われていないことに気がついた。血液検査が嫌い、大腸内視鏡は恥ずかしいからいやだという彼女の気持ちを知りすぎているため、そして症状が内服により軽度に抑えられているため、ついついこうなってしまう。3歳にころから知っている彼女の娘さんに電話して、わけを話して、大腸内視鏡の検査前処置の薬を取りに来てもらうことにした。
  • 2017/6/10 9:00
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ペルー人の男の子16歳、つい最近まで小児科でピイピイ泣いているような気がしたが、立派な高校生になってしまっていてしばし呆然。この子にとってはもう日本が母国なのだろう。ずっとスペイン語を忘れないでいてほしいものだ。フィリピン人男性65歳、県内の遠方から通院してくる。通院したての頃、クリニックの近くに知り合いが多くて、やってきたと聞いた。居住地の役所の生活保護担当から、どうして1時間ちょっとの時間をかけてまで、僕のクリニックまで行くのか?と言われたらしい。当然の質問だと思う。言葉の問題、そして検査など行っても、電話ですぐにフィリピン人スタッフを通じて結果が聞けるなどの利便性だろうと思う。きのうは入管に行ってきたそうで、3年になったよ、ドク、ビザわかる?と言われた。そりゃ、ビザがピザとはちがうぐらい、僕にでもわかる。今まで1年ごとの更新であったビザが、昨日は3年間認められたというわけだ。それだけすでに長く日本に住んでいるということなのだろうが、生活保護を抜け出すことは極めてむずかしそうだ。政府は少子高齢化の労働力不足に備えてたくさんの外国人に来てもらいたいと願っているようだし、観光客の受け入れに血眼になっているようだが・・そういう観点から考えると、彼などは招かれざる客にちがいない。
  • 2017/6/9 9:00
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アメリカ人男性がやってきているとフィリピン人スタッフが教えてくれた。用件を尋ねたところ、「診察ではない」と答えたとのこと。それではなおさら、やってきた理由を知りたくなるものだが、「ドクターにしか話さない」と言っているという。いいよと答えると、巨体の男性が入ってきた。日本の公的保険には加入していないが、どうやら居住地より米軍の関係者と思われた。来院した理由を尋ねると、バッグから紙の小さな箱を取り出した。手に取ってみると、どうやら薬が中に入っていたらしい。そして・・・よく読むとどこかで見慣れた病院の名前がプリントしてあった。バムンラード病院、バンコクでは超有名な私立の病院だ。空港から高速道路でスークムビットやシーロムのホテルに向かうとき、左手に横長の病院が見えて、緑のライトで、たしかバムンラード インターナショナル ホスピタルと英語で書いてある。スークムビット ソイ1に位置しており、日本語通訳を務めている知り合いのタイ人女性を尋ねて、たった1回だが行ったことがある。この女性、年齢は僕より少し若いぐらい、昔、岡山で勉強して正看護師の資格を取って帰国したものの、当時のタイではタイの看護学校を卒業し、タイの看護師試験を通らないと看護師としては働けないため、もっぱら日本語通訳を務めていた。
薬はテストステロンだった。日本医薬品集など調べてもまったく同じものは日本では発売されていない。そう話すと、数週間後にはまたバンコクに行くというので、再度、バムンラード病院を訪ねて処方してもらうようにと話すと、そうしますと答えて帰って行った。こういうことでも診察費はもらうべきなのだろうが、もらいにくい。またまた職員に怒られそうだ。
  • 2017/6/8 9:00
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午後2時頃、フィリピン人スタッフの携帯電話が頻繁に鳴っているのに気がついた。どうしたのか?と尋ねると、近くの公立病院でCT撮影を予約したフィリピン人女性が道に迷っているのだという。公立病院は市役所の隣にあって迷うようがないはずなのだが・・予約の時間に遅れたら公立病院に申し訳ないと思っていたところ、しばらくしてようやく病院にたどり着いたと電話があったとのこと、ところが今度は誰に予約伝票を渡していいのかがわからないと話しているという。フィリピン人スタッフもこのあたりの機転は利く方で、「だれでもいいからそこの職員に見せてあげて」と話したと教えてくれた。さらにしばらくして、無事にCTのところにいると連絡があったそうだ。忘れていたが、フィリピン人もタイ人も地図が苦手だ。駅から僕のクリニックまで徒歩4分程度なのだが、駅にいますという初診の患者に電話で場所を教えてあげてもなかなかすぐにはたどり着けず、何回か電話がかかってくる。こういう地図が苦手というのが、フィリピン人とタイ人だけとは思わないが、患者数が多いだけに目だってしまう。僕の得意は何かというと、タイ人にタイの地図を教えてあげることだ。タイの地図を書いて、ここの県はどこ?といくつかの県を示して尋ねると、ほとんどのタイ人は正確には答えられない。僕だってまちがえることもあるが、それはほんの数か所、「本当にタイ人?」「クンモ―、すごいなあ」なーんてやりとりをタイ人患者としている。
  • 2017/6/6 9:00
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2月下旬だったか、日経メディカル オンラインに依頼された本年4月から来年3月までの外国人医療に関する執筆、とくに自分が診察していて気がついた実践的な文章をというニュアンスだった。はじめは2週間に1回、約4000字ぐらいという話だったが、とてもじゃないが、2週間に1回は無理と担当者にお話しして、1か月に1回にしてもらった。もうずいぶん前だが、東京新聞の土曜のコラムの執筆を半年分24回依頼された時のこと、担当者から掲載が始まる前に6回分程度は書いておいた方がいいですよとアドバイスされた。そうでないと締切に「追いかけられる」ことになるからだそうだ。それで掲載が開始になるまでに半年分24回の原稿のうち、18回ぐらいを書いておいた記憶がある。これで楽勝かと思ったら・・19回からはぱたっとアイデアが出なくなり、けっこう苦しんだ。1月頃に帝国ケミファのMRが全国の医師に配布している隔月刊の雑誌に1年分6回、各号5000字の原稿を依頼された。6回のうち5回は自分が書き、1回は通訳の話なので適任者に書いてもらった。こういう長いシリーズを依頼されている間に別の原稿を依頼されることが過去にもあり、性格的に一つが気になってもう一つのこともできなくなってしまうので、3月の中旬までに来年3月までの5回分を全部書いてしまった。案の定、この5回目が終わる少し前に、日経メディカル オンラインの原稿を依頼された。昔の東京新聞のコラムのときの轍を踏まないために、書けるだけ書いた。いまの時点で書き上げた送った原稿がたぶん13、うち長すぎて2つに分けた方がいいとアドバイスされたものが2つ、同じく長すぎて3つに分けますとふどばぃすされたものが1つ、すると17回分が終わったことになる。1か月に1回という話だったが、担当者からこのまま続けて書いてくださいと言われているので、やはり2週間に1回という掲載に近くなるのだろう。あと7回分を7か月ぐらいで書けばいいことになる。なんとかいける気がする。日経メディカル オンライン、ぜひ読んでください。そういえばブログにこんな内容のことを最近、書き込んだような気がしてきた。今月の17日で68歳、そろそろぼけてきたかも。
  • 2017/6/5 9:00
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