AMDA国際医療情報センター
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小林米幸: AMDA国際医療情報センター理事長

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平成23年8月19日金曜

平成23年8月19日金曜

 けっきょくきのうは小児科も合わせて15人の外国人の患者来院。国籍はペルー、タイ、フィリピン、韓国、ブラジル、パラグァイ、パキスタンと7カ国、バラエティに富んでいる。午後になって関東地方のある大学病院のソーシャルワーカーを名乗る方から電話があった。外国人患者のことで聞きたいと言っているけどどうしましょうと受付が聞くので、つないでもらった。お子さんが日本にいる中国人の方が観光OR短期滞在でやってきて、ペースメーカーを入れる状況になってしまったが医療費はどうなるのでしょうという質問だった。本来、こういう質問は私のクリニックではあまり受けない。長電話になると診察中の患者をお待たせして申し訳ない事態になったり、クリニックに電話してくる患者のじゃまになってしまうからだ。AMDA国際医療情報センターの電話番号を紹介するのが通例なのだが、たまたまそのときは患者が一瞬途切れたのと声の調子から相当に困っているのだろうと思い、そのまま受けてしまった。お子さんは社会保険―今でいう協会健保に入っているそうなので長期滞在して企業で働いているのだろう。お子さんがまず自分の協会健保の家族として入れようとしたら断わられたそうだ。やむをえまい。日頃から皆で掛け金を支払い、病気の時にはそれで医療費の7割を負担しようというのが日本の皆保険制度の骨子だ。かわいそうとは思うが、ここに突然やってきて大きいお金を支出させ、元気になったらまた国に帰っていくというのでは困った時だけのおいしいどこ取りのつまみ食いと同じだ。こういうことをしていったら日本の皆保険制度などあすにでも崩壊してしまう。だからといって病気になったあとで加入する民間保険などないだろう。今からではもう遅いが、こういうことがあるから自分の国を出てくるときに旅行保険などの民間保険に加入してきてほしい。各地の国際交流協会など地域の外国人に常日頃、接している団体、個人はぜひ外国人の方々に伝えてほしい、外国人の伴侶を持っている日本人に伝えてほしい。自費で支払えということになったら困るのは肩代わりさせられるであろう親族や伴侶などの立場の人たちなのだから。
 この医療機関に残された手段は限られている。生活保護も行旅法も使えないから、もしペースメーカーを埋め込む前なら可能なら急いで帰国してもらうことー日本と中国の時間的距離を考えたら不可能な話ではないと思う。羽田―上海なら2時間ちょっと、北京でも3時間半ぐらいだろう。お金はないから支払えないし、でもその病気の家族を日本においてほしいというのはちょっとどうかなって思う。もしペースメーカーを埋め込んでしまったなら自費で分割で確実に支払ってもらうことだろう。僕がいつも心配するのはここで未納金が発生すると、「じゃ、もう外国人を診るのはやめようか」という医療機関が現れることだ。医は仁術といわれるが、それでも僕ら経営者は職員に給与を支払わねばならない。いま、医療機関の経営は厳しい。診療報酬はほとんど横ばい、合理化をしても職員給与にまで踏み込むと職員、とくに医療職が集まらず、医療の質が下がってしまう。それどころか入院施設を持ったところなら病棟閉鎖に追い込まれかねない。ぎりぎりの経営をしている。そういう状況で入ってくる物が入らなくて出て行くものは出て行くとしたら、それは経営危機につながる。これでは経営者としては失格であろう。
  • 2011/8/19 8:55
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