ブログ - 平成31年3月19日火曜
南西アジアの某国からの日本語学校生23歳、昨年の11月に初診、左の胸背部に痛みがあり、来日して間がない一カ月ほど前に手の指に傷があって、あやまってそこにごきぶりスプレーをかけてしまった、それからめまいがしたり、関係があるのではないかと心配していた。通常の血液検査では何の異常もなく、胸腹部のCTスキャンでもとくに異常所見はなかった。以後、何回かやってきては心配を訴えるのだが、昨日はめまいのほかに動悸、ときどき血圧が140ぐらいまであがると言う。血圧を測定してみたが、120/60でまったくの正常。体の中に毒が入っているのではないか、もし体から出て行ったとしても将来、がんになる可能性があるのではないかとやっと聞き取れるかどうかという英語で質問してくる。「大きな」病院でなければ、血中にそのような物質があるかないかについての検査はできないと話して、某医療センターに情報提供書を書きながら、行くときにはそのスプレーを持って行ったほうがいいと話した。するとそのスプレーはもうないと言うので、スーパーで同じものを買って行くか、成分を書き留めて行ったら?とアドバイスしたところ、日本に来たばかりで覚えていないし、本当にごきぶりを殺すスプレーだったかどうかもわからないと言う。ちょうど診察が終わる時間だったが、診察を終えても窓口でフィリピン人スタッフを相手に話が止まらず、困った。精神的なものと一笑に付すのは簡単だが、まずは彼が話してくれたことを化学的に分析しなくてはいけない。情報提供書を受け取る医師もとまどうことだろうと申し訳なく思った。