AMDA国際医療情報センター
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小林米幸: AMDA国際医療情報センター理事長

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平成28年12月20日火曜

平成28年12月20日火曜

吐き気があるとやってきたフィリピン人女性20歳、聞いた瞬間はああまた急性感染性胃腸炎か?と思ったが・・・いつからと尋ねると2週間前からと答える。嘔吐もなく、腹痛もなく、下痢もない。急性感染性胃腸炎にしては経過が長すぎるし、症状も吐き気だけというのはおかしい。考え込んでいると、あのぉと彼女が切り出した。もうひとつ別の話してもいいですか?と。いいよと言うと「寝られないんです」と一言。いつからか尋ねると仕事を変わってからだそうだ。何の仕事?と尋ねると化粧品販売だった。寝られないと言うから、もしかして夜の仕事かと思ったが、ちがった。これは仕事と関係あるかなと思い、質問していくうちにおおよそがわかってきた。会社に入って今の部署に配属になり・・・自分はあいさつしているのに先輩たちにあいさつしないとおこられる、朝、会社に行くとまずおこられる、こういうことが続くうちに吐き気と睡眠障害が発現してきたことはまちがいない。この女性はフィリピンで生まれ、母親が日本人と再婚して10歳のときにフィリピンから呼び寄せられて、以後は日本で暮らしているのだが・・日本語はそれなりに上手だが、丁寧な言葉とか日本人的発想とか日本人的お決まり事がよくわかっていない可能性がある。こういう事情を知らない人たちから見たら、注意もしたくはなるのだろうが・・・中学や高校のときに学校で腹痛とか下痢とかあって保健室に行くことはなかったか?と尋ねると「たくさんあった」と。過敏性腸症候群だったのだろう。そう考えると、今回の症状がよく理解できる。たぶん心の中ががまんできなくなってしまったのだと思う。
彼女には過敏性腸症候群の話や、いまの症状の原因として考えられることなど詳しく話し、日本で生活するかぎりは日本の習慣や考え方、丁寧な言葉遣いなど勉強しなければうまくはいかないことを話した。大粒の涙を流していた。こういうことは教育の機会の問題でもあり、むずかしいことでもあるが・・・一方で感じたことは今回の件はいじめに等しい。あれほどいじめはいけないと言われながら、こういうことがきっとあちこちの学校や会社、いやあらゆる組織の中であるのかと思うと人間の性とはいえ、やるせない。最後に彼女が「きょうはどうしても会社に行くことができず、ラインで先輩に行けないと書いたのに既読になっていても返事がない」と言うので、そういう大切なことをラインで書いて理解しあえるのはよほど親しい間柄のこと、普通は顔を合わせたくないからラインで書いたのだなと思われるよと注意した。書き忘れるところだったが、彼女のように10歳近くなり、すでに故国での社会常識や考え方が身についてしまったあとで、母親の都合で日本に呼び寄せられたこどもはフィリピン人がもっとも多いが、ほかにもいる。母親は単純にこどもを近くに置いておきたいのだろうが、呼び寄せられたこどもにとっては大きな問題が待ち構えている、まず言葉がうまく覚えられず、学習に支障が出る。当然だが、日本のような学歴社会ではきわめて脱落しやすい。しかも日本の習慣、日本人の考え方を理解していないとパートで働いていてもはじき出されやすい。こういう人たちをたくさん見ていると、中には故国にいたほうが幸せだったのではないだろうか?というケースが少なからずある。
  • 2016/12/20 9:10
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