AMDA国際医療情報センター
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トップ  >  NO.94 通訳が求められる場所
AMDA国際医療情報センターでは20年以上前から受診時の電話通訳をしています。診察室で医師と患者の間のコミュニケーションをサポートすることを想定して通訳を育成していますが、実際に医療機関を訪れた日本語の不自由な患者は、医師以外の医療スタッフとも言葉を交わさなければなりません。日本語以外の言語で診察できる医師の元でも、他の医療スタッフが患者の母語で対応できる医療機関は非常に少なく、患者にとっては次から次へと高いハードルが待ち構えていることになります。


先日、医療機関の受付で退院手続きについて説明をするための電話通訳の依頼を受けました。その患者は国保に加入していましたが、高額療養費の制度を理解しておらず、限度額適用認定証を取ったものの、その支払額に保険が適用されているのかどうかと混乱していました。さらに悪いことに国保料の支払いが滞り、そのままでは限度額が適用されない事態となっていて、自己負担分の診療費の支払いと国保料の支払いの双方をにらんだ返済計画を整理する必要がありました。幸い受付の方が手際よく市役所と相談してくださり、三者で折り合える返済プランが提示され、限度額が適用できることになりました。患者もその間の経緯をよく理解することができたため、銀行振り込みの手続きもスムーズに進みました。「署名していただく以上、何が書かれているのか説明しないといけないですよね」と受付の方がおっしゃり、分割払いに必要な誓約書の内容もきちんと音読してくださったので、センターで1項目ずつ通訳しました。


センターにかかってくる電話で把握する限り、相談者の外国人の多くは日本の保険に加入しています。しかし日本の保険点数に基づく診療内容の組み立てや、様々な医療制度を理解することは簡単ではありません。わかりやすく整理された説明が必要です。コツも必要でしょうし、時間も多少かかるかもしれません。でも説明してくださったとおりに通訳することで、不安と不信に取り巻かれていた患者の気持ちがパッと明るくなる様子に私たちはたくさん接してきました。患者の気持ちが落ち着いたことは、そばにいらっしゃる医療スタッフにも確実に伝わります。


医療機関では多くの医療スタッフがそれぞれの専門領域で医師の診療をサポートされています。どの一つが欠けても医療機関の提供する診療は完結しないことでしょう。AMDA国際医療情報センターでは、受診時に限らず、受付での問診、薬局での服薬説明、医療連携室での相談、助産師、保健師の産後/育児指導など様々な場面で電話通訳をすることでそのお手伝いをさせていただいています。日本語の不自由な患者さんが安心して受診できるよう、国際交流協会やNPOからの通訳派遣の手が足りない場面で、ぜひ使っていただきたいと願っています。(センター東京 S)
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