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トップ  >  NO.88 学び続ける

  今年は正月にひいた風邪が2週間近く治らない上、思いがけない出来事に翻弄され、心を落ち着かせることができませんでした。そんな中、全国市町村国際文化研修所主催、医療通訳基礎研修のため滋賀県の琵琶湖畔で世俗から離れて過ごしてきました。医療通訳のことだけ考える贅沢な2日間のおかげで、気持ちを新たにすることができました。一緒に過ごしたのは自治体、国際交流協会、NGOの方々。皆さんの、並々ならぬ意欲が大きな刺激にもなりました。


  まずは大阪大学大学院人間科学研究科教授の中村安秀先生の3連続講演から始まりました。最初の『外国人の医療・保健・福祉について』で最も印象に残ったのは、平成111029日に厚生省児童家庭局長通知で出された保育所保育指針の中で、4歳児、5歳児、6歳児の人間関係の配慮項目として「外国人など、自分とは異なる文化を持った人の存在に気づく」「外国の人など自分とは異なる文化を持った様々な人に関心を持つようになる」「外国の人など自分とは異なる文化を持った様々な人に関心を持ち、知ろうとするようになる」という指針が定められているということでした。当たり前のことなのにこのように定める必要があるとも取れますし、当たり前のことであっても明文化しておく必要があるとも取れますが、人との関係は努力なくしては築けないものだという思いを新たにしました。


2番目の『保健医療機関の現状と課題』では2010年に国際保健医療で発表された臨床医から診た在日外国人に対する保健医療ニーズ調査の中の「医師が言葉で困った時の対処法」を紹介されたのですが、155(複数回答)のうち68パーセントが身振り手振りや筆談、67パーセントが通訳可能な知人を同伴してもらうで、その他が10パーセントではありましたが、NGOやボランティアに通訳依頼は7パーセント、公的な通訳サービスに依頼に至ってはわずか0.6パーセントという現実を重く受け止めました。『医療通訳者に求められる役割』では、現在医療通訳士が代行している医療システムの活用方法を教えたり、ある程度行わざるを得ない心理的なサポートが、それぞれの専門職に担われるように整備されるであろう未来図を垣間見ることができました。


2日目には神奈川、愛知、京都、長崎での医療通訳派遣あるいは医療通訳養成事業の事例紹介に続いて、4つのグループに分かれてワークショップがおこなわれました。医療通訳事業を「阻害」「促進」する要因をポストイットに書き出していったのですが、参加者それぞれの土地柄、それぞれの悩みが透けて見える内容が出てきました。外国人集住地区と、広い地域にいろいろな国の方が点在する地区、それぞれ必要な医療通訳システムが異なります。予想できたことではありますが、同じ内容が、阻害要因にも、促進要因にもなり、過渡期である現状の踏ん張りがとても大切だと、思いを新たにしました。


電話通訳を行うためにと、機会を見つけては医療通訳向けの講座やシンポジウムに参加することを心がけてきました。年間10以上は参加するようになって、10年は過ぎたと思います。いろいろな分野の講師の話や、勉強する仲間が、勉強を継続していく力の源になってくれていると思います。段々記憶力はあやしくなってきましたが、学ぶ気持ちがあるうちは通訳を続けられればと願っています。(センター関西 I

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