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トップ  >  NO.87 伝わらない

ある病院の救急外来医より通訳の依頼がありました。「発熱、腹部違和感で来院しているが、尿検査の結果尿路感染症が疑われる。3日後に帰国予定で旅行中の方なので、抗生剤や解熱剤を処方後帰国してもらおうと思う。旅行保険しかお持ちでないので、高額になるCT検査と血液検査はしていない。」とのことでした。ところが本人に代わったところ、「尿路感染症には以前にもかかったことがあるが、症状が違うので血液検査を受けたい。CT検査を受けるかどうかはその結果を診て決めたい」とのこと。それに対して医師は「CT検査は高額だし、診断がつかないこともある。熱は複雑な病気の可能性もあるが、入院してみないと分からない。入院するとさらに高額になる。尿の培養検査の結果が出るのは1週間後なので、帰国に間に合わない。」「以前も尿路感染症になったことがあるが、こんなに体は弱っていなかった。すごく不安だ」「尿路感染症の確定診断は、血液、尿、エコー、CT検査をしなければならない。日本人の患者もそうだ。しかしCT検査をしても確定できないこともある」等々、やりとりをする間に、その前の週に別の県の病院で血液検査を受けていたことが分かり、その検査結果も取り寄せて、この日の検査結果と比較してもらえることになった。


検査後、医師より再度電話があり、「血液検査の結果、異常はみつからなかった。白血球は若干高めだったが、細菌はみつからなかった。以前の血液検査の結果では炎症が認められたが、現在は炎症が起こっている兆候は見られない。これ以上の検査は必要ない。」とのことだが、患者は「とても心配なのでCT検査を受けたい。皮膚がとてもひりひりする。」と涙ながらに不安を訴えた。言葉は正確に伝えているのに、患者の不安が医師には伝わらない。もう帰って大丈夫という医師の診断も伝わらない。同じ内容の会話が行ったり来たりしている。と、そこへ病院内の通訳人が到着したとのことで、忸怩たる思いを抱えながら電話通訳を終えることになった。気持ちを伝える方法をこれからも考えていきたい。(センター関西I



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