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トップ  >  NO.83 妊娠・出産に関わる通訳ケース

 少子化と言われて久しい日本ですが、当センターにかかってくる妊娠・出産に関する相談電話は少なくありません。当センターが紹介する分娩対応医療機関の中で分娩費用が比較的安い公立病院は、いつ問い合わせても既に予約でいっぱいでなかなか受け入れてもらえません。妊娠1ヶ月目で予約を入れているような状況なので、公立病院の産科に限っては少子化の影響はないように思われます。そのような中から今回は妊娠・出産にまつわる電話通訳を実施した事例二つをご紹介します。


   まず、一つ目は近畿地方の総合病院からの通訳依頼を受けた件です。通訳をしている当センターの担当者の様子が普段と違うように思えたのですが、通訳自体はスムースに終了しました。その相談は日本に観光で訪れていた女性が腹痛で病院を受診したところ、そのまま出産してしまったというものいうものでした。本人は、「常に月経不順だったので妊娠したとは思っていなかった。自分の親には出産の事は知らせたくないし、病院に子どもを残して一人で帰国したい」というものでした。「病院が新生児を引き取る事は出来ないし、また既に病院側は相談者の国籍の領事館にその新生児の出入国手続きに関して問い合わせ済ませた」との説明と、その手続き方法を通訳して電話通訳は終わりました。


 各航空会社により多少の対応の違いがありますが、航空会社はそれぞれ独自に妊産婦と新生児の飛行機搭乗について制限を設けています。大抵妊娠30週前後で医師の診断書と本人の同意書を必要としており、予定日間近になると医師の同乗を条件としたり、搭乗できなかったりします。また新生児に関しては出生後8~14日以降に搭乗可能としているところが多いですが、一社は自己責任を尊重して妊産婦も新生児にも、一切の搭乗制限をなしとしていました。


 二つ目は東海地方の県立総合病院からの通訳依頼で、前日夜に仮死状態で生まれた新生児の件でした。仮死状態だったので脳への障害をくい止める為に72時間の低体温療法をしており、今までの新生児の経過説明とこの療法後に自発呼吸が出来るかどうか、出来なかった場合の脳性麻痺や他の障害発生確率等の見通しについて母親に対して通訳を実施しました。かなり専門的な内容の上に深刻な状況でしたが、病院の先生は終始穏やかな口調のまま母親からの質問にも丁寧に対応して下さり、母親も我が子の危険な状態を聞かされたにも関らず冷静でしたので通訳はスムースに終了することが出来ました。その二週間後に、再度その総合病院から通訳を依頼され、その赤ちゃんが元気に退院する場面に立ち会う事が出来ました。赤ちゃんは脳波、頭部MRI、聴覚検査共に異常なしとのことでした。しかし、今後は発達遅延がみとめられたり、てんかんを起こす可能性は高いとのことでてんかん発作時の応急措置の仕方も通訳し、また病院側が地域の保健師さんとその母親とを繋げてくれたこともその母親に伝えて電話通訳は終了しました。

 当センターでは今後も病院を中心とした地域社会の中で、この赤ちゃんが無事に育って行けるように、またこの赤ちゃんだけにとどまらず在日外国人が安心して暮らしていけるように電話通訳でいつでもサポートする準備をして待機している状態です。
(センター東京K)


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