最近、HIVに関する相談が数件続いた。多くはHIVに感染したのではないかと思われる機会があって、感染を心配するケースである。HIV検査を受けたいので検査機関を教えてほしいという相談以外に、例えば体がだるく、寝汗をかくがHIVに感染しているのではないか、インターネットで購入した自分で検査できるキットを使用し陰性だったが、この結果は信用できるのだろうかなどである。基本的には確実な結果を得るために、一定の期間(感染初期のため感染しているか検査では分からない期間)を経てから検査を受けるよう伝えている。


その中で、結婚して数年経つが、最近配偶者がHIVに感染していることを知ったというケースがあった。その相談者は偶然配偶者がHIVに感染しているのではないかということに気づき、本人に問い質したところ以前から感染していたことを認めたという。電話をかけてきたのは、相談者が検査を受け、結果が数日後に出るという時期であった。結果が出るまでの間、一人では耐えられない思いがあったのだろう、電話をしている間ずっと泣き続けていたという。結果が出るまでの不安な気持ちや配偶者がずっと隠していたことによる裏切られた気持ち、配偶者への複雑な心境などについて話を聞いた。結果がまだ出ていない時点で相談者には酷な話だが、たとえ陽性であっても、現在HIVは慢性疾患のように通院・服薬しながら日常生活を送ることができると話しても、相談者が混乱している状況で、どれだけ相談者に届いたのだろうか。また電話を下さいと伝え電話を切ったが、その後検査結果の日が過ぎても電話が来ることはなかった。


後日、別の相談電話で、HIVに感染している相談者から日本での治療について相談があった。つい最近HIV陽性と判明したのだという。治療にあたっての病院の選び方についての相談だったが、電話中は落ち着いている様子だったという。


HIV陽性という結果をどのように受け入れられるのだろうか。2件の相談が同じタイミングでかかってきたため、考えてしまった。もちろん落ち着いている様子だからといって、陽性という結果を受け入れられているかどうか、相談電話という短い時間で相談者を理解することはできないし、受け入れる過程も個人的な背景・状況などによって違いはあるのだろうけれど、もし陽性だった場合、どのように治療へといった前向きな気持ちに促すことができるのだろうか、そしてそのような人々をどのように支えていけばいいのだろうかとふと思った。しかし、少なくとも一人で悩んでいるのであれば電話をしてほしい。センターは8ヶ国語で対応しているので、一人で抱え込んでいることについて母国語で話すことができればと思う。


結局、配偶者がHIVに感染していた件の相談者から電話はかかって来なかったが、センターでは再び電話が来た時のことを考えて、どのように対応していこうかみんなで検討していた。相談電話という顔もわからない、会ったこともない相手であっても、気にかけている人達がここにいるということをわかっていてほしい。  (センター東京 Y