去る4月24日、センター東京で2010年度第1回センター内研修が行われました。 講師には当センターの理事長であり、小林国際クリニック院長を務める小林米幸先生を迎え、近年においても変更・修正が加えられている日本の保険制度について講義をしていただきました。 事務局及び通訳相談員は、普段保険について相談者から尋ねられる立場にあります。加入方法や仕組みをできるだけ正確に伝えるため、再確認、再勉強の意味を込めた研修となりました。

 日本人にとっては、原則として全国民が加入する国民皆保険による保険診療が当然ですが、世界を見渡してもこの国民皆保険制度を実施している国は多くはありません。そのため、たとえ日本に長く住んでいる外国人であっても、国民健康保険や健康保険(社会保険)について知識のない人が多いのが現状です。実際、国民健康保険では保険料を自分で納めなければならないこともあり、保険料を支払いたくない、母国で民間保険に加入しており二重加入したくないなどの理由で、日本に長年在住しているにもかかわらず国民健康保険に加入しておらず、いざ病気になった時に「どうすればいいか」と相談の電話をかけてくる相談者もいます。  現在、日本の医療・福祉制度で「外国人である」という理由で適用されない制度はありません。しかし、在日外国人が国民健康保険等に加入する場合、外国人登録と在留資格の種類に関する条件があります。更に、保険に加入していることによって得られる助成金も、知っているのといないのとでは大きな違いがあります。

 更に、日々医療現場に身を置かれる小林先生には、患者の立場からは知る機会の少ない、保険診療の仕組みも教えていただきました。例えば、近年胃潰瘍の原因のひとつとして挙げられ注目を浴びたヘリコバクター・ピロリの検査や除菌療法は、保険診療の範囲内で行う場合、医師による胃潰瘍もしくは十二指腸潰瘍の確定診断後、感染が疑われる患者に対し行えるもので、患者の希望によって医師がすぐ実施できるものではない、ということなどです。相談電話を受けていると、特定の検査をしたいから病院を紹介して欲しいという要望を聞くことも少なくありません。 保険診療の仕組みをあらかじめ知ることで、実際に外国人の患者が病院に行った時、医師と患者の間に誤解が生じないように助言することも私たちの重要な役目のひとつであると考えます。  日本に住む外国人の方々が日本人と同じような医療・福祉制度を利用するときには、言語の違いを乗り越え、なおかつ文化の違いをも乗り越えなければなりません。私たちはこれからも、そのお手伝いに尽力していく所存です。