日本に一時滞在中の方から、4ヶ月のお子さんの予防接種について問い合わせがありました。自国でのスケジュールに合わせて受けたいとのことで、ペディアリクスという5種混合、Hib(ヘモフィルス-インフルエンザ菌b型)、ロタウィルスに加え、小児用肺炎球菌用の計8種のワクチン接種を希望されました。

 相談者の住んでいる国では、Hibも肺炎球菌も、2、4、6、12~15ケ月の乳幼児にワクチンを定期接種することになっています。日本では、Hibは2007年承認、2008年末に接種開始されましたが、小児用肺炎球菌ワクチンは、2009年10月にようやく製造販売が承認、今年春ごろに発売予定です。関西のある小児科クリニックの話では、Hibは約半年待ち、肺炎球菌ワクチンが接種可能になるのは今年の4月以降とのことでした。日本で接種するには、当該ワクチンを輸入しているクリニックを探すか、個人輸入したものを接種してくれるクリニックに持ち込むなどする必要があります。現時点では、一カ所で同時に上記8種の予防接種を受けることは非常に難しいと思われました。

 肺炎球菌感染症には、細菌性髄膜炎、菌血症、敗血症、肺炎、中耳炎などがあります。WHOによると、世界で肺炎球菌感染症のため毎年約100万人の乳幼児が死亡しています。日本国内においても、肺炎球菌は、Hibとならび子どもの重症感染症の主要な原因となっています。特に細菌性髄膜炎は,死亡率10~30%、重い後遺症の割合も高く、治療が困難な病気です。日本では年間約1,500人の患者が発症すると考えられています。また、肺炎球菌が引き起こす菌血症/敗血症や肺炎、中耳炎も抗菌剤が効きにくいため重症化しやすいといわれています。小児用肺炎球菌ワクチンは、これらの病気を予防するものです。2007年にWHOはすべての国において小児用肺炎球菌ワクチンを定期接種に優先的に導入するよう推奨しています。現在、多くの国で使用され、アメリカやイギリスをはじめ十数カ国で定期接種として接種を行っているようですが、日本ではようやく任意接種が始まろうとしている段階です。

 ワクチン後進国といわれる日本ですが、新型インフルエンザの流行を契機にワクチンの重要性が見直されつつあるようです。日本脳炎の定期予防接種についても、2010年度から、5年ぶりに勧奨接種再開へという動きもあり、今後も各種予防接種の動向から目が離せません。

(センター関西Y)

参考ウェブサイト:日本神経感染症学会

 http://www.neuroinfection.jp/guideline101.html