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トップ  >  NO.67 一本の電話
 1週間毎日のようにある同一言語圏の人から言葉が通じる精神科を紹介してほしいという相談が入ったことがあった。その多くの相談が医者からうつ病と診断された、またはうつ状態であるということだった。
相談者の中には電話口で興奮し、こちらの質問にも答えたくないという人や、数カ所の精神科を紹介しても満足せず、繰り返し電話をしてくる人もいた。そしてそのような時にどのように対応すればいいのか困惑することもあった。
 日本では近年うつ病が増加傾向にある。また、うつ病はどの人も罹患する可能性がある病気と言われている。ましてや日本に暮らす外国人にとっては、帳常の生活や仕事など以外に、言葉の壁や異文化でストレスを多く感じているということは容易に想像できる。また最近では不況の影響で、相談者の置かれている環境が悪化しているのかもしれず、そういったことが原因になっているのかもしれない。
 しかし,彼らが求めている言葉の帳じる精神科、特に英語以外の外国語が帳じる精神科は依然少なく、数が限られてきてしまう。彼らの中には、ある程度日本語を話すことができる人もいた。しかし,例えば、日本に適応しようと努力しつつも、疲弊してしまった人達にとっては、日本語が溢れる異国で、彼らの言語で自分の今の状況を吐露し、話を聞いてもらうことが心の安らぎになるのだろう。
 相談者の中には「死にたい」ともらす人もいる。しかし、そのような相談電話を受ける時、私達に相談してきてくれたその人の、それでも立ち上がろうとする思いを、何とかその人の快方への道へとつなげていきたいと切実に感じずにはいられない。
 どのように対応すればいいのか困惑することがあると前にも述べた。私達は相談者の話に耳を傾け、相談者の要求に可能な限り沿うように努めているし、今後もその姿勢は変わらない。しかしその「死にたい」と言った相談電話をきっかけに、一本一本の電話の重みを痛切に感じ、一本一本の電話をより一層大切にしようと心に決めた。                   (センター東京 Y)
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