センターへは様々な相談のほかに、医療機関での電話通訳依頼も入ってきます。他の電話と重ならない限り、電話通訳でできる範囲内のことは積極的にお手伝いしています。
このサービスはセンター設立当初からしていたのですが、少しずつ認知されてきたようで、依頼が増えてきました。
去年の秋ごろ、とある大学病院の糖尿病内科からかかってきた電話通訳依頼は、血糖値をコントロールできない女性患者さんに医師から懇々とお説教するような内容でした。家できちんと血糖値が測れていないこと、定期的に受診しないことを厳しい口調で指導しながら医師が尋ねたのは、「妊娠を希望しますか?」ということでした。患者さんは妊娠を希望され、さらに厳しい目標値を医師から言い渡されました。
そして4ヶ月後。また同じ病院から電話がかかってきました。今度はその患者さんは妊娠3カ月になっていました。それからは2週間に1度産婦人科を午前中に受診し、その後お昼過ぎに糖尿病内科を受診するペースで、センターに電話通訳依頼が入ってきました。
「赤ちゃんが無事に育つかどうか分からないよ」と内科の先生には厳しく言われ、産婦人科の先生には糖尿病の状態を心配され、そのどちらも聞いているセンターのスタッフもハラハラしながら患者さんに寄り添い続けました。
途中からは両科の先生の間で直接やり取りしていただくことになり産み月が近づいてきました。逆子となってしまった赤ちゃんの位置を直す体操を指導され、センターの男性通訳も一緒に腕や肩を回しながら通訳をしていました。逆子のため帝王切開の予定となり、手術の説明日や入院日も決まりましたが、臨月になる頃には赤ちゃんの頭はちゃんと下になって、一安心。自然分娩を待つことになりました。
実は、この病院からは、2年前にも糖尿病を患っている妊婦さんの件で電話通訳を受けていました。同じ言語の方だったので、「もしかしたら・・・?」と思いつつ、ずっと通訳を続けていましたら、出産が近づいてきたころ、患者さん自身の口から「上の子も2年前にここで産んだのよ」という話が出てきて「やっぱり!」とうれしく思いました。
母国語の通じない国で力強く自分の病気と闘い(でもちょっとマイペース♪)、お母さんになって子育てをしているこの方に、私たちもエネルギーをもらいました。
(センター東京 S)