道案内

 当センターへ入る相談の一位は外国語が通じる医療機関を紹介してほしいというものです。紹介する時は、医院名、電話番号、最寄り駅、最寄り駅からの行き方、診察時間、その言語が話せる医師の名前等々、細かな情報まで提供します。また、病院であれば、科の名前や、受付での声がけなどのために日本語を教えることもあります。

 その中でもセンター関西のボランティア通訳、スタッフの間で難しいと話題に上る事が多いのは実は最寄り駅からの行き方の説明なのです。まずは教える側、情報を受け取る側それぞれの方向感覚すぐれているかどうかが影響してきますし、教える側がその地域の土地勘を持っているかどうかも重要な要因です。情報は医療機関の方からAMDA国際医療情報センターへ、そしてAMDA国際医療情報センターから相談者の方へと伝言ゲームのように伝わっていきます。医療機関の方にはどの乗り場から何番のバスに乗ればよいのかといったことをお訊きするのですが、意外とご存じない方がいらっしゃいます。また、事前に日本語はできない、と説明しているにもかかわらず、「大きな看板が出ているので見てもらったらわかります。」と言われることもあります。その場合は再度、「色、形、マークなど誰にでもわかる目印になる物を教えてください」とお願いします。

 というのもこの建物は鉄道等の高架下なのか横なのかといった地図の解釈もいろいろと分かれるところです。二次元の地図の世界へと皆で飛び込み、ああでもない、こうでもないと頭をひねり、三次元の世界を構築します。日本では一部の大きな通りを除いて道に名前がないということも、地理感覚に自信がない外国人の方には大きな不安要因となります。そして最終的には担当言語でそれをどのように説明するか準備していただきます。

 最近、これらの一連の作業が、もしかしたら電話通訳をするためのトレーニングのひとつとして役立っているのではないかと思うようになってきました。言語的には通訳できていても、理解するには説明が足りていないかもしれません。センターにいては診察室の中が見えていないのですから本当に理解できているかどうか、顔を見て確認する事ができないため、こちらから言い方を変えて聞き返すことでチェックする事もあります。これは患者さんにも、医療従事者の方にもどちらとのやりとりにおいても同じです。言語で説明された事を立体的に捉えなおし、それをまた言語化していく作業をこれからも慎重に進めていきたいと考えています。(センター関西:I)