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外国人看護師・介護士の受け入れ

 21世紀に入った日本は、前例のないスピードで少子高齢化社会へと変貌を遂げつつある。その変化に対応するための試みの一つとして期待されているのが、医療や福祉の現場に外国人スタッフを迎え入れようというものだ。このような内容の新聞記事が掲載されると、センターにもいろいろな問い合わせの電話がかかってくる。「日本で介護士の資格が取れる学校が出来たと聞いた」、「看護師の勉強をさせるために日本へ呼び寄せたい」といった問い合わせも多い。確かに外国人向けの養成講座などもスタートしてはいるのだが、これはすでに日本での活動に関して自由度の高い在留資格(例えば定住ビザや永住ビザなど)を所持している人を対象としていると考えられる。

 これに対して、アジア諸国と日本政府の間で話し合われているのが、自由貿易協定(FTA)の枠組みの中での受け入れである。ある日本在住のフィリピン人女性からの相談電話は、「フィリピンにいる姪が看護師をしている。新聞などを読むと日本にもニーズがあるようなので、日本で就労させたい。どういう過程でビザなどの申請が出来るものなのか知りたい」というものだった。

 フィリピン政府とは、日本フィリピン経済連携協定の交渉が大筋において合意に達しており、『日比EPA(看護介護分野でのフィリピン人受け入れ)に係る基本的枠組み』として、外務省のホームページに日本語と英語で公表されている。それによると、既にフィリピンで必要な資格、あるいは要件を取得している人に在留資格を与え、日本語研修とともに看護或いは介護の研修・就労を経て、日本の国家試験を受験させる。合格後は新たな在留資格で就労できるが、不合格者は帰国することとなる。介護福祉士については、フィリピンで当該資格を所持していないものの4年制大学を卒業している人を対象にした養成コースもあり、受講終了すると、国家資格を取得することのできる枠組みもある。こちらも資格取得後は新たな在留資格で就労できるが、資格を取得しなかった場合にはやはり帰国しなくてはならない。看護師・介護福祉士の国家試験合格者、介護福祉士資格取得者に対して与えられる特別の在留資格は、EPA(経済連携協定)に基づく「特定活動」で、具体的には当該個人と就労機関との契約に基づいて認められるものとなる。従って就職先が見つからなければこのビザは出ないことになるのだが、慢性的な人手不足であることを考えると、在留資格の切り替えはスムーズにいくのではないかとのことだった。

 このプログラムの募集窓口はPhilippine Overseas Employment Administration (POEM)というフィリピン側官庁が設置することになっている。選抜された人には専用の在留資格が与えられることになっていて、既に日本に滞在している人がビザを切り替える形で応募することはとりあえず想定されていない。同協定はまだ正式に発効しているわけではないので、詳細が固まり実際に受け入れが始まるのはさらに先のこととなる。具体的な研修の内容や資格取得については厚生労働省が管轄するとのことだ。

 問い合わせの電話をいただいた人の姪は、フィリピンで看護師の資格を得て既に働いている様子であったので、看護候補者としての応募要件を満たしていると思われるが、受け入れ人数にも制限があり、フィリピン政府が責任を持って選抜することになるそうだ。日本に滞在する外国人が私たちの社会の中にしっかり根をおろしていく中で、センターの役割もますます(まだまだ?)重要だと気持ちを引き締める日々が続く。
(センター東京 S)◆◆◆

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