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「英語による両親学級を開催し、見えてきたこと」

 センター関西は、6/10、17、7/8に在日外国人向けの英語による両親学級を開催しました。初回は2組、二回目には予約なしの飛び入りカップルが1組加わって、以降参加者3組と講師1名での両親学級となりました。3組のうち2人の女性が現在妊娠中、もうお一人は近々妊娠を予定しているとのでした。今回は日本で色々な活動をなさっている外国人助産師を講師にお迎えし、センターの母子保健テキストも使用しながら、妊娠から育児までの基本的知識や日本の医療・福祉・保険制度、そして呼吸法や妊婦体操、沐浴といった実践的なことなど総括的なプログラムを行いました。参加者からは日本の公的保険制度、ダウン症の出生前検査、無痛分娩等様々な質問や疑問が積極的に出されて終始和やかな雰囲気の中で有意義な時間を共有することができ、講師の方は、最初は無痛分娩を希望していたカップルが今回の両親学級に参加して自然分娩(ナチュラルバース)にも興味を持ってくれたことをとても喜んでいらっしゃいました。そして、3組ともパートナーの妊娠・出産・育児に対する関心が高く、お互いに理解し協力し合っている姿がとても印象的でした。

 そもそも今回英語による両親学級を開催したのは、今年に入り英語圏の方々から妊娠・出産に関する相談が立て続けに寄せられたことがきっかけでした。英語の通じる産婦人科はもちろんのこと、英語で行われる両親学級を紹介して欲しいと言う方もいました。英語を話す産婦人科医や助産師がプライベートレッスンを開いたり、日本語で行われる両親学級に通訳を派遣して下さる団体はありましたが、現在関西地域で在日外国人グループ向けに両親学級を開催している団体や医療機関は見つかりませんでした。プライベートレッスンではなく、他の在日外国人と一緒にレッスンを受けて参加者同士で情報交換する場がほしいという相談者の希望はその時点では叶えることは出来ませんでした。センター関西では1997年にスペイン語・ポルトガル語、中国語、フィリピン語、1998年にはベトナム語の通訳付き両親学級をそれぞれ開催したことがあります。当時、英語は他の団体によって行われていたために上記の5言語を選びました。今回は相談件数とその内容から関西地域では英語による両親学級のニーズがあるのではないかと考え、在日外国人が健康的で幸せな妊娠生活を送れるように、また出産・育児の有益な情報が得られるように、この学級を開催することが決まりました。

 いざ英語による両親学級の開催が決まっても、電話相談は匿名で受けているため、以前に参加を希望していた相談者にこの情報を直接お伝えする手段がなく、「この情報がどうか届きますように」と願いながら、英語対応可能な産婦人科、在日外国人の集住地域などの医療機関、国際交流協会、英字新聞・雑誌、そして在日外国人と接する機会のある方々に様々な方法で広報しました。しかし参加者の一人から「私は医師(センター関西が広報した産婦人科医)から今回の両親学級を教えてもらったけど、どうしてもっと英字新聞でお知らせしないの?みんな読んでるわ。」とおっしゃったので、彼女が読んでいる新聞名を伺ったところ、今回の両親学級を紙面で紹介して下さった英字新聞でした。その上彼女のパートナーはその記事を読んだとのことでした。当事者のすぐ近くまで情報がいっているのにきちんと届いていない現実に情報発信の難しさを実感しました。

 少し前のデータですが、1999年、両親共に外国人及び親のどちらか一方が外国人の出生数は33,569人であり日本で出生した子どもの36人に1人が外国籍の親を持つという報告があります(「在日外国人の人口動態2001年度版」李節子著)。現在も関西地域で妊娠・出産・育児を行う在日外国人数は相当数いると考えられ、定住化が進んでいることを考慮しても多言語による両親学級のニーズは少なからずあると思われます。また同時に、在日外国人の医療を考える上で母子保健分野が重要な位置を占めていることは確かですので、多言語版の母子保健ガイドを販売するだけでなく、センター関西が英語あるいはその他言語による両親学級を開催する価値は十分にあるのではないでしょうか。広報の仕方、会場までの交通の便、参加費、そして何よりも彼らのニーズなどを十分に考慮し、センターが発信した情報ができるだけ多くの在日外国人に届き、うまく活用して頂けるような環境を今以上に作っていけたらと思います。この点では、両親学級の参加者募集をセンターのホームページ等で常時行い、希望者が数名集まった時点ですぐに開催できる体制作りもよいかもしれないという意見も出されています。

 今回相談の内容から相談者のニーズを感じ取り両親学級の開催に至ったことは、私たちにとって本当に良い経験となりました。電話相談の内容やその他様々な情報媒体を利用して在日外国人のニーズをリアルタイムで捉えて、より効果的な広報活動の仕方も考えながら、在日外国人の健康に有益な情報を提供し続けていきたいと思います。
(センター関西 Y) ◆◆◆


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