AMDA国際医療情報センター
supporter
login
トップ  >  NO.50 出産前の思わぬ落とし穴
出産前の思わぬ落とし穴

 出産を迎える英語圏の女性から相談電話が入った。すでに妊娠8ヶ月目にはいり、病院を変えたいということだった。詳しく事情を聞いてみると、彼女は6ヶ月ほど前、当センターに病院の情報を得るために相談電話をかけ、条件の合う国立病院がみつかりそこへ通っていた。出産予定が近づいていたのだが先日、病院から出産費用の値上げを告げられた。突然の事と、臨月に近づいている状態であり、彼女の予定していた値段では無かったため憤りというよりも困惑した相談者は当センターへ再度、電話をかけてきた様だった。彼女は、この状態で受け入れてくれる病院、英語を話す女医、費用が30万から35万であるとをクリアしている情報が必要だという。彼女の夫は日本人なのだが、長く出張に出掛けており不在で、日本語が不得手な中、一人でこれから移ることのできる病院を探さなければならない。以前よりその旧国立病院へ通院していたにも係わらず、料金の変更があった時点で自分に説明が無かったことや、もう少し時間の余裕があればもっと病院の選択肢が広がったのではないかと不満もある様だった。

 運良く条件にあった1つの病院が見つかり、そこを紹介することができた。自宅から少し遠いと言うことでその後も電話がかかってきたが、それ以上に適当な病院が無いため答えることのできた病院はそこのみとなった。

 彼女の通っていた病院に確認の電話をしたところ、今年の4月より独立行政法人に変わり、それに伴い今年の9月から出産費用、体外受精などについて値上がりしたとのことだった。医療費が変更される以前から病院にかかっている患者に医療費変更の知らせはどのように行っているかを問い合わせてみると、産婦人科病棟では、ナースステーションの掲示板に2ヶ月前の7月より張り紙をして患者にお知らせ出来るようにしていたが、それは日本語のみの表記で他言語では対応していなかった。口頭で出産予定が近い患者に時期を早めて変更を知らせることは難しかった様だ。

 国立病院が独立行政法人に変わったからといって(管轄が厚生労働省、文部科学省、財務省に係わらず)、保険診療、自由診療ともに医療費の計算方法に変化はないと、問い合わせた別の何件かの旧国立病院から回答があった。厚生労働省管轄の多くの旧国立病院が移行した独立行政法人国立病院機構も医療費の設定など特に指導はしていないという。問い合わせた病院の1件は独立行政法人に変わった時期と同じくして特定療養費の値上がりがあったが、特に法人格になったからという理由ではなかった。また別の病院は自賠責保険にかかる診療の場合、倍の計算(1点20円)と変更になり、ある病院は時期を同じくしてDPC(急性期入院医療の包括評価。治療に要した診療報酬が、検査や診療等に要した費用ではなく、疾患ごとに定まった額で支払われる方式。平成15年4月に特定機能病院82箇所に導入され、翌年16年4月に62箇所に試行的適用となった。)を導入したため若干の医療費の変更、差額ベッド代、診断書等に変更が生じているとの答えだったが、特に独立行政法人化したからではないとのことだった。

 いずれの病院も名称が変わった際、院内で掲示していたとの答えだったが、あまり患者自身が関係することではないため一人一人に個別に案内はしておらず、掲示物は日本語のみであった。

 今回の相談ケースは出産が間近になっていたことと、出産費用が変わった時期が重なってしまった不運があったが、やはりそこに言語の壁があったことも否めない。病院側がもう少し柔軟な対応をこの相談者や似たような状態の妊婦に示すことが出来ればよかった。医療を受ける際のコミュニケーションの問題だけではなく刻々と変わるこういった制度などにも敏感にこれからも正確な情報を調べ相談者の方々に還元していきたい。 (センター東京I)◆◆◆
プリンタ用画面
友達に伝える
前
NO.50
カテゴリートップ
NEWSLETTER 案内
次
NO.50 日本でできることは・・。