SARS対策は万全か?

 中国、香港などで、新型肺炎SARS感染者数の増大が報じられる中、4月初旬からセンター関西にもSARSに関する相談が相次いだ。SARSに関するこれまでの相談件数は8件で、内容を大きく分けると次のようになる。

  1. 日本の行政機関、ホテル、病院などのSARS対策について。
  2. 感染地域から来日後、SARSのような症状がある。自分がSARSにかかっているのかどうか心配。どうすればいいのかわからない。
  3. SARSの症状、薬について。

 センター関西ではこのような相談に対応するため、各自治体のSARS対策(外国語の対応等)について調べた。しかし、この時点(5月15日)では、各自治体の対応から、SARSに対する危機感は感じられなかった。中には、SARSの症状が出ている患者で、日本語が話せない場合は、患者自身が通訳を探し、医療機関に同伴させるように、という回答をした担当者もいた。これでは、通訳を頼まれる方も命がけでついて行かなくてはならない。また、他には、SARSと思われる症状が出た場合、まず一般の病院でレントゲン検査を受け、抗生物質を服用し、それでも症状がおさまらない場合、SARS患者受け入れ病院へ行くように、という回答もあった。もし、患者が本当にSARSに感染していたとしたら、受け入れ病院へ行くまでの間に、どれだけの感染者を増やすことになるだろうか。 

 行政機関だけではなく、各自治体が指定するSARS患者受け入れ病院へも問い合わせをしてみたが、受け入れ体制については検討中であったり、まだ準備が整っていないというところもあった。SARSが騒がれはじめてからすでに2ヵ月近くたっていたが、対策が確立されているとは言えない状態であった。5月下旬、新型肺炎SARSに感染している台湾人医師が日本へ旅行に来ていたことが判明した。台湾人医師の旅行先であった関西各地で混乱が起き、ホテルやレストランなどの観光業をはじめとする様々な企業、また、地元の人々などが大きな被害を被ることになった。しかし、この不安と混乱を機に、各自治体、医療機関などはSARSの危険性を認識し、真剣な対策を考えることになったのではないだろうか。

 今回、日本においては台湾人医師からの感染者が出ず、混乱も早期におさまったが、SARSが台湾や中国の騒ぎだけではないことを私たちも実感させられた。海外の国々と日本とが密接な関係にある時代に、日本だけがこのような世界規模の感染症から免れるということはない。6月末現在、SARSは終息に向かっていると言われているが、これまでの日本のSARS対策は万全であったか、今一度考えてみる必要がある。先にも述べたように、外国人への対応はまだまだ十分ではない。海外から持ち込まれるこのような感染症については、外国と日本とを行き来する機会の多い外国人への対策は必至である。(センター関西K)◆◆◆