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ブラジル人と健康保険 ~相談対応の難しさ~

 大きな夢を抱いて来日する外国人労働者たち。しかし、日本の現実にぶつかるとその夢は冷める。どのような現実かと言えば、たとえば言葉の違い、あまりにも大きな生活習慣、食習慣、文化の違い、そして、仕事の内容はいざ来日してみると自国で聞いていたものと大きく異なっている。このような状況下、ブラジル人のなかにも精神的、心理的に病み、ポルトガル語の通じる精神科やカウンセラーを求めてセンターに電話をかけてくる人々が多い。ちなみに、ブラジルには非常に多くのカウンセラーがおり、ブラジル人はカウンセラーにかかることには日本人と違ってあまり抵抗がない。

 彼らの多くは国に家族を残して来日している。従って、家長としての責任があり、少しでも多くのお金を自国の家族に送金するため、ビザがあっても健康保険に加入することを拒否さえする。ブラジルでは、最低賃金は1ヶ月に約150ドル(約18,000円)。日本とブラジルとのこの収入の違いが、少しでも多くのお金を送金するために1円たりとも(彼らにとって)余計なことにはお金を浪費したくないという気持ちにさせるのだろう。しかしながら、この国にいる以上は住民としてこの国の法律に従って、義務を果たすことが当然だと思う。ブラジル人の多くは正規の在留資格を持って滞日しているので、国民健康保険に加入することができるのだから。(但し、いくつかの自治体では、外国人の場合正規のビザを所持していても国保への加入を拒否している。)

以前ブラジル人女性から次のような相談電話を受けた。彼女の住む地域で医療機関を紹介して欲しいというもの。彼女に保険の有無を尋ねると、保険にはあえて加入していないとのことだった。保険に加入する資格はあるようだが、毎月の保険料が高くつくし、病院を受診するのはせいぜい年に1度ほど、だから保険料を払うより都度自費で払う方がずっと安い。彼女の気持ちも理解できる。だからあまり強く保険への加入を勧めることはできなかった。それに、彼女がセンターに電話をかけてきた目的は、医療機関を紹介してもらうためであり、保険について色々と言われるためではない。このようなとき、相談者にとって何が一番良いことなのか考えるにあたり、相談対応の難しさを感じる。

 この女性のように、国保に加入できるのにあえて加入しない人もいれば、加入したくとも加入できない人々も大勢いる。そして次のようなケースもあった。

 その相談者は以前は国保に加入していたが、その間保険料を払い続けていても病院を受診することはなかったので保険をやめてしまった。しかしその数年後に病気になり、高額の医療費がかかることになったので、再び保険に加入したい。しかし彼が役所の国保の窓口に相談すると、今まで支払っていなかった保険料を全額支払わないと加入できないと言われとても困っている、というものだった。

 日本で生活する以上、保険に加入することは、本人のみならず、自国にいる家族のためにもやはり重要なことではないか。なぜなら、だれも自分の将来を予見することはできないのだから。明日もしかしたらあなたも保険の恩恵にあずかることになるかもしれない。◆◆◆(センター東京 ポルトガル語通訳相談員N)


(AMDA国際医療情報センター NEWSLETTER NO.36より)

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