結核予防法 第35条と第34条

毎日多くの相談に対応していると、以前どこかで聞いたことのあるようなケースに出くわすことがある。同国人で同姓、結核を患っているが、結核以外にも症状があって・・・となると、「つい先日のケースでは?」と思わず周囲でサポートしている者は記録をひっくり返そうと手が動く。しかし、もう少し話を聞いてみると、居住地域や受診中の病院が違う。別のケースだ。どちらの相談も本人に代わり知人が相談をしてきており、共通していることは、無保険で、結核以外に治療を受けている病気があるということ。一人は入院中で近日中に帰国予定だが、未払い医療費がある。もう一人は病院への支払いや帰国手続きも済ませてあったのだが、状態が悪くなったために、当日帰国することができなかった。またしばらく治療が必要になると医療費がかかるのでサポートしている友達もたいへんだ、という。本人に帰国の意思があり、一刻も早く帰国した方がよいと思われる状態だけに、本人も周囲も気が気でないことだろう。

以前にもニュースレターの中で結核予防法について取り上げたことがあるが、最近続けて結核絡みの相談を受けたこともあり、この機会に再度確認し、適切な対応ができるように心掛けたい。

結核予防法第35条:
 結核医療の命令入所にかかわる医療費は保険と公費で全額支払われる。命令入所とは、肺結核または肺外結核にかかり、排菌状況によっては同居者に伝染させる可能性がある場合に適用される入院治療のことである。超過滞在などの理由から無保険の外国人に関しては、結核が伝染性であるため、お金がないからといって治療しないままに放置することはできないので、全額公費負担となる。なお、「命令入所」といっても法的強制力はない。

結核予防法第34条:
 結核の適正な医療を普及するためにあり、指定の医療機関で結核治療を受ける場合、医療費の95%が保険と公費から支払われる。無保険の外国人の場合は第35条と同様の理由から95%が公費負担となる。いずれの場合も窓口は保健所。


 前述の入院患者のケースの場合、相談者から医療機関の担当者に確認してもらったところ、排菌はしていないため第35条には当たらないと説明されたとのこと。入院の理由が結核によるものではなく、その他の病気によるものだったからだ。しかしその場合、第35条は適用にならなくても第34条は申請できる。つまり結核による命令入所ではないが、結核やその他の病気で入院中という場合も、この第34条を申請することができるのである。保険のない外国人であっても、薬など結核の治療にかかる費用については、95%が公費負担となるため、多少なりとも負担は軽減できるであろう。もう一件のケースの患者さんも、通院治療で飛行機に乗れる程度にまで快復すれば、帰国も可能かもしれない。いずれにせよ、結核の場合は指定医療機関を受診する必要があるが、このような制度に詳しく、できれば外国人医療に慣れている医療機関を検査の段階から受診する方がスムーズに治療が受けられることと思う。

 財団法人結核予防会が「外国人結核電話相談」を行っているので、結核の不安がある人、結核とすでに診断されている人などは、まずこの電話相談に相談してみることをお勧めする。毎週火曜日午前10:15~12:00および午後1:15~3:00は英語、韓国語、中国語で相談ができる。電話番号は03-3292-1218、1219 これ以外の言語を話し、日本語での相談もむずかしい方は、当センターに相談してください。◆◆◆(センター東京事務局N)


(AMDA国際医療情報センター NEWSLETTER NO.34より)