~介護の問題~

 介護保険制度が、賛否両論の中、今年の4月からはじまりました。高齢社会を迎え、介護は避けることのできない問題となっていますが、その対策が万全でないのは皆さんご存知のとおりです。日本で暮らす外国人も、介護が必要になったとき、どこで誰が世話をしてくれるのか、その行き場に困っていることがあります。

 パーキンソン病を患っているうえ、大腿部骨折の手術をしたあと車椅子の生活をおくっている方の奥さんから相談がありました。奥さんは日本人で、このご夫妻は日本に十数年暮らしています。しかし本人は英語しか話しませんし、お二人とも高齢です。英語での対応をしてくれて、治療、療養ができるところを紹介してほしいというものでした。帰国するのが一番いいのかもしれないが、長時間の旅行に耐えられるか心配だし、本国には姪がいるだけなので心許ないとのことでした。

 この方に対して、条件の合いそうなところはなかなか見つかりそうにありませんでした。特別養護老人ホームにはいろうと思っても、少なくとも1年間は待たなければならないと言われ、しかも英語が通じるところとなると、見つけるのはほとんど不可能に思えました。奥さんは、適当な施設があれば、夫婦で遠くに引っ越しても構わないとおっしゃっていましたが、高齢になって知らない土地で暮らすのは大変なことだろうと思われました。とりあえず、地元の社会福祉協議会と国際交流協会に相談して、福祉面と言葉の面のサポートをそれぞれしてもらうよう相談してはと言うしかありませんでした。

 これとは別に、在日50年、現在70才の方のケースでは、もともと東京に住んでいたのですが、娘さんが一緒に住もうと申し出たので大阪に越してきたそうです。はじめは元気に過ごしていたのですが、半年ほどすると持病のリュウマチがひどくなり、入院するようになりました。娘さんは自分自身の体の調子も良くなく入退院を繰り返し、しかも小さな子どもがいるため、父親が退院しても面倒をみるのは無理な様子でした。その方は、日本語は話せるものの日本食が苦手など、あまり日本の生活に馴染んでいないので、できれば帰国して病院かナーシングホーム(療養所)にはいることを望んでいました。本国にいる兄弟や姪はあまりあてにできないが、公的機関が援助してくれるはずだと本人は言っていました。医師と共に、本国の病院やホームに手紙を書いて送ったそうですが、返事がないので、情報が欲しいという相談でした。

 こちらの場合は、渡航費、ホーム入所費くらいのお金は持っていて、飛行機にも乗れると医師が保証してくれていました。領事館に問い合わせて状況を説明したところ、領事部の方が相談にのって下さることになり、あとで副領事が本人に会いに行って下さることになったそうです。

 いずれのケースもその後どうなったか聞いていません。実は、偶然にも同じ国籍の方たちでしたが、日本に残られたのでしょうか、それとも帰国されたのでしょうか。面倒をみてくれる家族の有無、言葉や習慣の問題と共に、社会がどのくらい介護の受け皿を作っているかということで選択していくことになるのでしょう。日本にいることを選択した場合、外国人も日本人と同様に地域住民として、高齢になっても安心して生活していくことができるような社会を目指さなければならないと思います。◆◆◆(センター関西英語相談員U、事務局Y)


(AMDA国際医療情報センター NEWSLETTER NO.33より)