「電話相談から見た在日外国人の小児予防接種、渡航時予防接種の情況」
第40回日本熱帯医学会・第14回日本国際保健医療学会合同大会にてポスター発表


9月3日から5日まで、国立国際医療センター(東京都新宿区)で開催された上記学会にてAMDA国際医療情報センター(以下センター)はポスター掲示部門において発表した。演題名は「電話相談から見た在日外国人の小児予防接種、渡航時予防接種の情況」であり、センターにおける電話相談のうち、過去3年間における「小児予防接種および渡航時予防接種」の相談内容などについて分析した。
91年4月のセンター設立(センター関西は1993年12月)以来99年3月末までの総相談件数は26,551件。対象年度3年間(96/4~99/3)の総相談件数は13,998件。そのうち小児予防接種に関する相談は395件(2.8%)。渡航時予防接種は239件(1.7%)であった。

《 小児予防接種 》
種類別相談件数順位(多い順に):ポリオ(29.6%)、DPT(17.0%)、BCG(17.0%)、日本脳炎、麻疹、インフルエンザ、B型肝炎、Hib(インフルエンザb菌)、風疹、おたふく風邪、A型肝炎、MMR、水疱瘡、髄膜炎、破傷風、百日咳
相談内容別件数順位(多い順に):接種希望(25.4%)*、接種の受け方(20.4%)**、言葉の問題(14.5%)***、接種のスケジュール(12.8%)、日本と外国の接種の違い、予防接種パンフレット入手希望、接種の具体的内容、ビザなし 自費で受けられる機関の紹介、海外の予防接種事情、接種後に起きた問題、その他

* 接種希望とは:具体的な予防接種をいつ、どこで受けられるかといった質問
** 接種の受け方とは:子供に予防接種を受けさせたいが、どのようにしたら良いかといった質問
*** 言葉の問題とは:自治体から送付されたお知らせが読めない、ある予防接種の日本語名を教えて欲しい、など。また保健所からは外国語で記載された予防接種の記録が読めないといった相談が入る。

<考察>
国によるスケジュールの違い(接種始めの年齢)や種類の違い(Hib、MMRは日本では行われていない)から不安になり、相談をしてくる親が多い。国によりなぜ異なるかという説明をきちんとし、不安を取り除いてあげることが必要である。日本語で書かれたお知らせが読めないために、接種の機会を逸してしまう場合もある。外国人住民に対するよりきめの細かいサービス(外国語版の案内など)が求められるのではないか。在留資格により公費で予防接種を受けられない子供の場合に(受けられる自治体もある)、特に集団接種が多いポリオ、BCGを個別に受けられる機関が少なく、遠方まで出てこなくてはならないケースがある、などが明らかになった。

《 渡航時予防接種 》
渡航先地域件数順位(多い順に):アジア(86.8%)、南米、アフリカ、アングロアメリカ、オセアニア、その他
希望接種件数順位(多い順に):A型肝炎(25.9%)、マラリア(19.1%)、B型肝炎( 13.2%)、腸チフス(10.0%)、破傷風、コレラ、黄熱病、風疹麻疹、日本脳炎、狂犬病、他7種
相談内容別件数順位(多い順に):特定の予防接種希望(45.9%)、予防接種希望(種類はわからない)(38.9%)、詳しい情報が知りたい*、接種費用を知りたい、その他
* 予防薬の種類、効力期間、ある特定の国に渡航する場合に必要な予防接種は、といった相談

ポスター討議の時間に受けた参加者からの質問は、主に日本と外国との小児予防接種スケジュールの違いについてや、在留資格が無く公的保険に入っていない子供はどのように接種を受けているか、といったことであった

<最後に>
子供を思う親の気持ちは万国共通である。自費でも良いのできちんと予防接種を受けさせたい、という強い気持ちを相談からしばしば感じる。特に発展途上国から来日している外国人の両親にとっては、帰国後の衛生状態などを考えた場合、あせる気持ちもあるのではないだろうか。また感染症は人種や在留資格に関係なく広まるものである。従って我が国の防疫体制を考えた場合、たとえ在留資格がないケースであっても何らかの手段で予防接種が受けられる体制づくりが望まれる。今後、希望者がスムーズに受けられるようなシステムの改善を期待しつつ、我々もできる限りお役に立てるよう努力していきたい。そんなことを考えた機会であった。(センター東京)◆◆◆


(AMDA国際医療情報センター NEWSLETTER NO.30より)