外国人の精神病患者の受け入れ先捜し

 センターには、色々な症状の患者から相談がありますが、病院を捜すのに最も困るのは、日本語と英語を話せない精神科の患者のケースです。
 以前、救急の時間帯(夜9時頃)に某大使館から精神的にショック状態の女性を精神病院に入院させたいと相談されたことがあります。突然大使館に駆け込んできたその女性は、かなり大きなショックを受けたようで、初めは言葉を失った状態でした。事情を把握するため、1時間近くセンターの相談員が一生懸命話しかけましたが、「帰りたい。帰りたい。」とただ同じ言葉を反復するばかり。精神的に安定させるためにも、すぐ病院に行った方がよい思われ、救急病院に幾つか問い合わせましたが、何軒も断られ、捜すのに苦労しました。

 「夜遅くて専門の先生がいないから」、「ベッドが空いてないから」、「うちの病院より○○病院の方が良いと思います」、「ずっと病院に通訳の方が付き添って下さるのならいいですけれど...」等と理由は様々です。確かに言葉がわからない外国人の上、精神不安定となると、受け入れ難いと言う病院側の事情もあるかもしれません。しかし、この患者を何処の病院でも受け入れなかったら、一体、誰が診てくれるのでしょうか。残念ながら、救急であるにもかかわらず、外国人という理由で診てもらえないケースは多く、(都内の患者であれば)外国人なら大きい某都立病院が良いと勧められ、結局いつも同じ都立病院を紹介する傾向にあります。このケースも例外ではなく、同病院を紹介しました。

 外国人において、精神科関連で、特に麻薬中毒患者、アルコール中毒患者は、治療を受けたいというニーズに100%答えられる医療機関はないに等しく、かなり厳しいのが現状です。私たちセンターにできる事は、その患者の母語が話せる医師を捜す事、又はその言語を話せなくても外国人を受け入れてくれる医療機関を捜し、通訳として協力してくれる団体を見つける事。もし、自傷他害の恐れがある患者であれば、受け入れ病院を確認した上で、患者の関係者に地域の警察に通報すれば病院に患者を連れて行ってもらえる事(措置入院)を伝えます。私たちは、患者をより良い受け入れ先に繋ぐ案内をするよう心掛けてます。

 海外から日本に来て、生活習慣や環境の変化、特に仕事環境が母国と全く異っている外国人は、様々なストレスを抱えます。言葉がわからなかったり、家族や友人等の信頼できる人がいないと、そのストレスを誰にも打ち明けられないので、精神不安定になりやすいと思われます。中でも、私たちが想像を絶するようなショックな出来事があって、ショック状態の外国人に関わる相談を受けると、受け入れ機関が少ないだけに心が痛みます。(センター東京事務局N.N)◆◆◆


(AMDA国際医療情報センター NEWSLETTER NO.29より)