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日本に暮らす外国人の結核問題

 昨年の秋頃、日本で38年ぶりに新たに結核にかかった人の数がわずかだが増加に転じたというニュースが流れた。1945年当時は死亡原因の1位だった結核は、生活レベルが上がり、栄養並びに衛生状態が良くなったのに加えて結核に効く薬が発見された事により死亡率は下がっていた。しかし、80年代にはいり減少のペースが鈍ってきたというのだ。人口10万人当たりの新規患者数(96年)は、日本で33.7人で欧米先進国の3~6倍だとも言う。どうしたことだろう。理由として既感染者の年寄りと感染歴の無い子供の同居とか、結核に感染したものの発病せず、「冬眠状態」であった結核菌が高齢化に伴い発病に至っている等が挙げられている。患者が激減し医療従事者さえ結核のことを満足に知らず診断が遅れる状況もあるらしい。日本に暮らす以上、今後結核を昔の病気と考えるのは危険かもしれない。

 ところで、日本に暮らす外国の人たちはどうであろう。センター開設当時より、結核に関する相談は度々あった。「結核だと医師にいわれた。」、「同居人が結核にかかった。自分は大丈夫だろうか。」又「結核と診断されたが、外国人だから治療費がたくさんかかると言われたが、お金がない。」と言った内容である。医療費に関しては結核予防法34,35条が適用になれば、患者の負担は軽くなる。しかし、担当医が外国人にも適用になることを知らないケースも未だにある。又、医師の説明が理解できず、不安を募らせているケースもあった。感染を防ぐという観点から言えば、外国人への配慮も十分考えていかなければならないのではないだろうか。

 そして、そんなニュースが流れた頃、以前より在日外国人の結核問題に取り組んでいる(財)結核予防会の「第6回 外国人結核問題に関するワークショップ-患者から見た日本の医療-」に参加した。フィリピン大使館で医療相談をしているフィリピン人医師、在日ペルー人、ミャンマー人を支援しているそれぞれのボランティアの代表を中心に3つのグループに分かれてワークショップが行われた。一番大きな問題としてはやはり言葉であり、その障害を取り除く為に通訳のトレーニングや外国人ケアシステムが必要という意見。そして外国人にも医療を受ける権利があり、文化、習慣を考慮した治療を望む声があった。しかし、まだまだ情報が行き渡っていないということも話し合いの中で浮き上がった。例えば、複十字病院(結核専門病院、多くの外国人患者を受け入れている)は外国人の場合、その人の経済状況も考えて服薬の確認が出来れば入院させず外来で診るか短期の入院にしているとのこと(もちろん排菌の程度にもよるが)。

 一方、ある支援グループでは結核と診断されると6ヶ月の入院になるのでアパートも引き払うと言う。そのため、結果的に退院後、収入が途絶え、帰る場所も無く路頭に迷うことになってしまう(担当医が6ヶ月の入院と言うので仕方がないと言うことであったが)。退院後の生活も考えて欲しいと訴えていたが、複十字病院の様に外国人医療に精通している病院にかかるとか、入院期間を病院側と話し合うなど、方法を変えれば患者の負担を軽くすることは可能ではないだろうか。また、患者本人が帰国を強く希望したため(医療費、言葉の問題から)、帰国させたというケースでは、医師より「帰りたければ帰すというのは問題。何故なら飛行機の中の感染率は非常に高いので危険だ」と言う説明があった。最後に医療費、言葉の問題は簡単に解決できるものではないが、「医療従事者としてビザがある無しに関係なく、結核であれば最後まで治療するという意気込みが必要ではないか」という力強い医師の言葉に励まされたように思う。

 これからもセンターに結核の相談はあるだろう。くれぐれも言葉、医療費の問題等から治療を中断し病気を悪化させることがないように適切な情報提供をしていきたい。
(センター東京事務局K)◆ ◆ ◆
 

(参考資料:朝日新聞98.12.27、AERA No.47)
結核予防法34条一般(通院)患者
対象医療費全体の5%が自己負担
結核予防法35条命令入所(入院)
対象医療費全額公費負担


(AMDA国際医療情報センター NEWSLETTER NO.28より)
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