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条件の多い相談:ある拒食症女性のケース

 当センターの相談業務に携わって約3年半。電話を受ける度、言葉の違いはもとより文化、考え方の違いを理解する事の難しさを痛切に感じる。6月に受けた電話相談もその事を思い出させるものだった。
 
 相談者は20代の欧米系の女性で、拒食症を患っていた。電話を掛けてきた時、彼女は31kgしかなく、電車に乗ってもすぐ倒れてしまうような状態であった。彼女の希望は英語が流暢に話せて拒食症専門の病院でしかも循環器の専門医がおり、近代設備の充実している所だった。

 英語の相談を受けた者なら、この様に条件をたくさん挙げられた経験が少なからずあるに違いない。この彼女の条件を全部満たしてくれる所があるのならいいのだが、悲しいことに現実はかなり厳しい。英語が話せる先生を捜すのは他の言語と比較すると多少は易しい事かもしれない。しかし流暢となると難しい。彼女はネイティブと同じレベルを希望していたのでなおさらだ。また拒食症が最近、日本でも多くなってきたとはいえ、拒食症中心に診療してくれる病院を探す事は至難の業である。彼女の希望する事をすべて満たした病院は残念な事にないので、最低限、言葉の通じる所、拒食症を診てく れる所、循環器科のある所をいくつか選んで紹介した。
 
 その後、彼女は何度か電話をしてきた。彼女の声を聞いていると何とかしてあげたいと思う反面、ここは日本なので自国と同じ様にはいかない事もわかってほしいと思った。この時の私の対応は曖昧でその事には触れずに電話を切った。というのも以前に要求の多い電話を受けた私はつい「これ以上は日本では無理です」と言ってしまってひどく怒られた経験があったからである。その苦い経験が私の対応を消極的なものにしたの かもしれない。日本の現状を把握しないまま、彼女はその後も紹介した先生の出身校やアメリカでのトレーニングの有無を聞いてほしいと言ってきたり、24時間体制の所を希望してきた。この時は出身校や経験を聞いたりすることは難しいと伝え納得してもらった。
 
 誰だって異国にいたら不安になるのは当然だ。多くの不満が出るだろうし、なるべく 自分の希望に合った所に行きたいのではないだろうか。私もアメリカにいた事があるので、病気をした時の不安はよく分かっているつもりである。英語圏の人は特に希望をストレートに出す傾向がある。その気持ちを理解した上で出来ること、出来ないことをきちんと伝える勇気が必要だということを強く感じた。
 
 その後、彼女からは電話がない。治療して元気になっていることを願ってやまない。と同時に少しでも彼女の希望に合った病院が日本にも出来ればいいなと切に思うのである。 (センター東京:英語相談員I)◆ ◆ ◆

(AMDA国際医療情報センター NEWSLETTER NO.22より)
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